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しばこうえんの、うらで、おれがおもて

 

 


さいきん、音楽、きいてない


代わりに、ロスト、流してる
最終話
みせてあげたいよ


できることなら、オレと同じ気持ちで、同じだけの情熱を持って


部屋の後ろで、または動画で、ジュリエットの叫び声を奏でてる
取り乱したりはしない彼女の叫び声と、
彼女を呼ぶ声が聴こえる


どうしてこんなに哀しいんだろう


彼は、いつもジュリエットに、まだ味方かって
聞くんだよ
まだオレの味方か?
オレの味方か?
味方かって、自分の味方かって聞く


それはとてもシンプルで、生きていくのに、充分な理由だろうな


何かを決断するにも
また、前に進むにも
また、あきらめるにも、
また、受け止めるにも
また、自分をさらけだすにも、


充分だろうよ


オレには、叫ぶだけのものが、ない


今回の件に、巻き込まれて
200万円ちょっと、
入るはずの報酬が、払われない
けど、叫ぶだけの情熱はない


今朝、会社が雇った弁護士から
ようやく連絡がきて、
まあ、ひとまずどうにもならないことを聞いたよ
オレに備わっている、あるだけの知性で、思いつく限りの可能性や、希望
洗いざらい聞いたけど、変わらないそうで


いつも物事に於いては、最悪の可能性を想定しながら、
生きてきたつもりだけど、その備えは、
今回もまた、無力だった


彼の徹した、哀れみのない、声をききながら
まったく取り乱せない、自分を、
明らかに、いつもより明瞭に感じられて
オレを苦しめているのは、
紛れもない、この姿勢なんだなと


自分を見失って叫べない、そうさせる何かなんだなと


それでも、
こういうときでも、おおくの人はやはり
自分のことしかみえていなくて
オレはそれに心を揺さぶられる
おきてしまったことより、そっちの方がかなしい


人は人の話なんてきいていないし
自分がいいたいから、言うのだ
だからそうではない言葉がよけいに心に響いたりして


きずきあげてきた形ないものたちの儚さと
それを求めていなかったことを知り
知らなかったやさしさを知り


また、その誰もが、純粋にそうしているんだとも知っている


社長には、残念ですと言い
弁護士には、あなたに何言っても仕方がないですよねと
タヌキには謝って
間をとりもつ営業にはお疲れ様ですと
自分になんといってよいのかだけがわからない


とはいえ、オレは答えを求めていたりはしていなくて
はっきりいって、それに答えてくれるような
知性は信頼していない


当然オレは悪くないし、また、誰も悪くない


何故なら、悪意はそう簡単に、都合よく転がっていたりはしない


誰を責めたりはできないし
誰にも責められるつもりはない
けど、人生は哀しい


誰も悪ではないことが、善を苦しめる


今回の200万や、
今までの数百万とか
BMW買えるとか、
左手の薬指がつぶれて短いとか、
左腕がまがらないとか、
首に石ができたとか、
その後遺症で頭痛に悩まされてるとか、
決して愛せない人を好きになったりとか、
他界した彼女や、
それをどうとも思えない自分に失望したりとか、


どれも取り乱したりはしない


でも一度だけ、
先頭にたってやっていた事が、利用されていただけなんだと、知ったとき
例えそれが真実とはまた異なっていても、


誰かの、何かのためのすべてに、
誰も味方がいないと、
ほんの一瞬、自分を哀れんでしまった、そのとき


取り乱した


その時にあいた、穴が、色々なことをかえる
二度とおなじような穴は、
この心にあけまいと


なんにも大切ではなくなって
信じているふりをすることだけがうまくなって
それがとても生きやすいことを知る


でも
やっぱり人間だから
弱くて、
求めていて、
ちっぽけで、


すがっている糸は思いのほか、ほそくて、頼りなくて


だから、ジュリエットに、オレの味方かって、聞きたい気持ちは少し、わかる


 

 
 

 

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