新たなる日々のはじまり
12月31日、一年でもっとも、長い一日が終わり
1月1日、一年でもっとも、長い一日が始まり
そして、終わった
これからはじまる365日
オレは誰も傷つけたりしない
そして、誰にも傷つけられたりしない
日々を清らかに、生きるんだ
美しく、生きるんだ
自分のために、苦しむんだ
31日は、昼には動き出し、バイクに必要なものを詰めて
待ち合わせまでの一分一秒を無駄にしないよう
読むべきものたちを背負い、新宿へ向かった
座ってゆっくり、自分を見つめあえるソファを探しながら
歩き回ったが、人ごみの波に、
揺られ、吹かれ、そして飛ばされ
ついには、諦めの一手を放ち
マグカップ片手に、ソファの前で待っていた
数十分もすると、席をたつカップルがあらわれ
座ろうと向かったオレを振り切り
一人の男が、席を取った
人を蹴落とし、奪い合い、醜く奪い合いながら一年を終えた
オレは立ったまま
マグカップのコーヒーを空にし、別の店へと向かい
答えを探した
程なくして、待ち合わせていた時間となり
信長とガチャピンと共に、
一年の終わりと始まりを探す旅へと向かう
ひとまずは、お茶をしながら、珍しい3人でありながらも
ゆっくり、いつも通り、幸福を傍らにおいて
友達の話や、天下統一についてや、命のはかなさについて語り合った
しばらくして
古きよき日本を知る、信長様の深層心理を、察し
年越しそばでも狩りに行くかと席をたち
天ぷらそばを頼んだ殿、天ざるそばを頼んだオレ、空気を貪るガチャピン
食卓を囲みながら
ししとうが入っていないと慟哭する信長様を、横にして
俺はただ
震えていた
何故か天ぷらそばにはししとうが入っておらず
天ざるそばには入っていた
それを叫ぶ殿を肌で感じながら、
一年で最期の食事を楽しみながら、
その感想を一言で言うならば
生きた心地がしなかった
命を燃やして食事をしたのちには、
殿の家へ、車をとりにいき、ギリギリの時間を
車を使い、足を使い、更には魂を使いながら
どうにか0時までには、目的の地へ辿りつこうと
足掻いた
明治神宮へ・・・!
殿は、果たして間に合うだろうかと、焦りながら
現地に車が着いたら、すぐに走って向かえるよう
運転しながら、マフラーをつけ
運転しながら、バッグを肩に掛け
「おっし」とか言っている
5分後には、
「バッグが邪魔でシートベルトがはずせない」
とか言っている
あんた本気なのか・・・
しかし凡てを注ぎ込んだ甲斐もあり
何とか、カウントダウン前には、明治神宮へと辿りついた
オレとガチャピンは、毎年
この日、この時、この地に通い詰めて
これで10年目
今回は旅のお供に歩く天下統一を抱え
また、一年
イチローの9年連続200本安打に先んじて
迎えること10年目
カウントダウンがはじまり
明けましておめでとうございます。
一年のはじまりより、
参拝のために、寒さに凍えながら
オレたちは待ち続ける
最中
殿に、今年の抱負を伺いました
「今年の抱負はなんですか?」
殿は言いました
「きる」
え
きる?
斬る・・・?
え、もしかして、K・I・L・Lですか?
規格外
オレは、寒さとは違う震えに突如襲われた
身の危険
しかしそんなオレを横目に殿は、静かに、言いました
「生きるだよ」
あ、なるほどー
生きるですかぁ
そっかー、よかった
いつのまにか震えは止まっていた
命をつなぎとめた安堵からだろうか
だから大切なことを見失うんだ
よく考えたら、生きるでも意味がわからない
生きる前に真っ直ぐ走ってくれ
そんな問答を繰り広げながらも
今年は例年以上、2時間近く並びながら
いつも以上の人ごみに圧倒されていた
その先にあるものは、祈りの場
2時間の後、ようやく賽銭を行い
オレは祈った、そして、僅かながらの決意を、
そこにおいて来た
帰り道では、いつも通り、お守りを、
巫女さんと思われるお姉さんに、いちばんつよいやつをくれと
哀願した
巫女さんの困った表情が言っている
「お守りに願いなんて込めてどうするのだ」と
しかし信長様が言っていた
「私はお守りによって神に守ってもらおうなんて考えちゃいない」
「神は気付いていない」
「オレたちに試されているのだという事を」
「人類の弱さを包む、まがい物の祈りはいらぬ」
「神よ、守ってみせろ」と
ガチャピンに至っては、巫女さんに
「おじいちゃんが長生きするやつください」
とか言ってる
巫女さんの困った表情が沈黙している
隣のすこし偉いっぽいお兄さんが
ああ、もうこれとりあえず渡しといてって感じの表情で
巫女さんにそれっぽい札を手渡している
ガチャピンはそれをみて嬉しそうに、財布を取り出し
売り場に背を向け
「あ、おばあちゃん死んだらどうしよう」
とか、気付いたらしく
別のところでおばあちゃん用のも買っている
狂気の沙汰・・・!
また、おみくじでは、大御心
広い心をと授かり
これからの終わりを乗り切る準備は万端だ
あと必要なのは、決して自分に負けぬという、覚悟
そうして、明治神宮を後にし、明日へと向かった
それは初日の出
命のはじまり
高速を駆使しながら、
右折の際に逆車線に突っ込みそうになりながら
更には、逆車線で右折を待つタクシーに突進しながら
また、二車線の道路では、何故か車線の真ん中を走る
意味がわからない
何でこの人はこんなに堂々と二車線使ってるんだろう!
混んでたら一体どうなってるんだろう!
何とか命だけは繋ぎ止めつつ
辿りついた
太陽へ
そうしたらもう、待つだけ
命のはじまりを
一年のはじまりを
60億が待つ灯
オレたちは、あの時、その唯一の灯を独占した
帰りには、殿の要望により
小田原城へと足を向けた
殿の目は、尋常ではない
喜怒哀楽ではあらわせない
決意を秘めた瞳で、見つめていた
オレは、その感傷に出来る限り触れぬよう
慎重に、一言を投げかけた
「如何ですか・・・?」
殿は言いました
「ちいせぇな」
あ、その目は、
これくらいな一人で落とせる的なあれですか?
今から殺るか的なあれですか?
もしかしてKILLですか?
真意のほどはわからなかったが、彼女の深遠を垣間見た
そうして何とか、帰路についた
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああ
あああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああ
あああああああああああああああああああ
あああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああ
ああああああああああああああああああああああああ
これからの一年間
それは終わりの始まり
決して無駄にしない
一年後、いまとは違う自分でいられるよう
ほんとうの人間になれるよう
大切にして、大切ななにかに、値するよう
去年の、今頃は、自分のすることを愛するようにと日記に書いた
でも愛は惜しみなく与う
そんなものをもてるよう
人に、自分に、物に、行いに、心に
それが、後悔を土台に、するはじまりの一歩になるよう
世界を広げる一歩を、諦めず、負けないよう
願いをこめて
人生に負けるな
幸せが似合わない人なんて、いない
なら、オレも
少しだけ、がんばってみるよ
正しいと、信じたものが、愛になる
今年の抱負よ
- Posted by at : 2010.1.2 | Comments [0]
- Category: [Crypin Story]
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