トップページ > Crypin Story > 悲しみよ、こんにちは

悲しみよ、こんにちは

This Entry Tags :

chn12_rpt6118_main_karu.jpg

私たちと幸福でいることのできた、
しかし神の御許に召された
一人の愛する人のことを話すよう
私の記憶が、時に、私を裏切る
夏がまたやってくる
その思い出と共に。
アンヌ、アンヌ!
私はこの名前を低い声で、長いこと暗やみの中で繰返す。
すると何かが私の内に湧きあがり
私はそれを、眼をつぶったまま、その名前で迎える。
悲しみよ、こんにちは。
-悲しみよ、こんにちは
 



よくないものが、心の中に、つもりつづけると
いつか、取り返しのつかない、
何かとなってでてくるんじゃないかと、怯えてしまったり
失敗したと、嘆き
その後悔を、自由に、心中泳がせてはいるが
一体どうすればよかったのか、答えはでているのだろうか
あらゆる所から、
前向きに考えるだけの要素を探し出して
その手に持っているものは、本当に幸福なのだろうかと思っている
言葉の端々から、慰めをつかみ、誘い
真実とはとおい、心の妥協点で
むやみな安心を、させてはいないか
または、真実に、こだわりを向けるがあまり
その残酷に、耐え切れなくなってはいないか
不幸を選んではいないか
また、厳しさが正義だと徹し
人の助けからも背を向け
好意を、裏切ってはいないか
それとも甘えていることに
気付いた気になり、
忘却を、忘れてはいないだろうか
振り返っては、過去の幸福を、指でなぞりながら
知らぬうちに、人生における脅威と
向き合ってしまってはいないだろうか
自分の心根を、わかっているようで、わかっていない可能性は、見据えているだろうか
疑念は、孤独は、また寂しさは、その哀しみは
一人で向き合うには、あまりにも、強大すぎて
あなたの、誠実が、真摯に立ち向かう、その美徳が、苦しめている
私は生きているだけなのに、と思っているのかもしれないが
この世に許された大事はそれだけだったりもする
幸福は限られているし、運はある人にしかない、努力は報われないかもしれない
人と同じことをしていても、それによってその身に、いわゆる平等がふりかかっても
人を人に仕立て上げる、感受性
感じる、心が、その平等を許さないだろう
誰がそれを明らかにできるだろうか
神より他はないだろう
心にそれをもつ
幸福を、幸福と認める神を
何でも不幸にしてしまわないよう
自らを傷つけないよう
自身に絶望しないよう
世界に瞳を向けられるよう
その虚ろな、瞳
 
哀しみ、取り戻せない、絶望
過ちから
 
 
 


for Trackback URL

このエントリーのトラックバックURL

Comments

コメントしちゃう?

Posted by