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あなたが愛を読むひと

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当時も、その後も、ぼくはどんなにしばしば同じ問いを考えてみたことだろう
ハンナの動機が、秘密がばれることに対する恐れだったとしたら
どうして、文盲であるという罪のない告白の代わりに、
犯罪者であるという恐ろしい自白をしてしまったのだろうか?
それとも彼女は、何も露顕しないままやり過ごせると思ったのだろうか?
彼女は単に愚かなのだろうか?
そして、露顕するのを避けるために犯罪者になるほど、見栄っ張りで性悪なのだろうか?
そんな考えを、ぼくは当時もその後もはねつけてきた。
いや、とぼくは自分で自分に言った
ハンナは犯罪を犯そうと決心したわけじゃない
彼女はジーメンスでの昇進を受けない決心をし
看守の仕事に収まっただけだ
そして繊細な子や弱い子たちを、自分に本を読んでくれたからという理由で
アウシュヴィッツに送ったわけでもない
彼女がその子たちを選んで朗読させたのは、
どっちみちアウシュヴィッツに送られてしまう前に、
最期の一ヶ月だけ楽をさせてやりたかったからだ
そして、裁判のあいだも、文盲の露顕と犯罪者としての自白とを秤にかけていたわけじゃない
彼女には計算や策略はなかった
自分が裁きを受けることには同意していたが、ただそうしたのではなく
自分にとっての真実と正義のために闘ったのだ
彼女はいつもちょっぴり自分を偽っていたし
完全に率直でもなく
自分を出そうともしなかったから、それはすぼらしい真実であり
みすぼらしい正義ではあるのだが
それでも彼女自身の真実と正義であり、その戦いは彼女の闘いだった
 
 



愛を読むひとを観た
・・・これは・・・
どちらかというと・・・原作を観た人でなければ微妙そうで仕方ない
元々ストーリーや描写は映像にすることで引き継げても
語り手の良さは、映像では失われる
だからきっとトルストイを映画化しても微妙なんだろうな
好きだったシーンも虚しく過ぎ去った
小説での語り口は
演技では到底、表現できないのだから
僕が望んでいた、マイケルの揺れはどうにも
監督はフランクダラボン
音楽はマイケルナイマン
マイケルはレイフファインズでおk
ハンナはホリーハンターかニコールキッドマン・・・けいとうぃんすれっとでもいいけど
 
とにかく、また一週間がはじまりました
もし、神がいるなら、言いたい
こんな悪戯はやめてくれ
僕はただ、静かに暮らしたいだけなんだ
何言ってるかわからない日本人とチームプレイだなんて
あまりの憂うつさに
以前の職場では、一度も遅刻なんてしたことなかったというのに
開始4日目にして、遅刻しそうになりました
実際は全然時間的にも余裕で間に合ったのだけれど
いつも7時にかけている目覚まし
鳴り響く
僕の相棒を、目覚ましを、命の手綱を、
第二の僕が
僕の中の獣が、止めていた
一体いつの間に?
気付いた時には、8時45分
9時30分に着いていればいいのだから、冷静に動けば間に合う
しかし僕の心に去来したのは、かつてない暴風雨、痛みを伴う構造改革
7月もはじまってしまったというのに
何もかも、梅雨に染まりきっている
輝こうという、気概が、感じられない
そんな中、僕の耳を通り過ぎた、あるニュース
あの、平成の夜に、舞い降りたエース
都博史さんが、このたび、ついに覚醒成されました
誰もが、彼の事が気になってしょうがなかった
二年間の無職という
大業を成し遂げた漢の行き着く先は?
彼は、何処から来て、何処へ行こうというのか?
その答えを聞ける日がくるとは、よもや思わなかったぞ・・・
それというのも、ある日
突如なりはじめる僕の携帯電話
彼からだった、無職にとっての神様
都博史
野球少年にとってのイチロー
サッカー少年にとってのロナウジーニョ
芸人にとってのさんま
歌手にとってのマイケルジャクソン
ゲイにとっての、美輪明宏
ニートにとっての都博史
そんな生きる伝説とも言える、彼が、僕に言った
「オレ、来週から岐阜行くことになりました」
・・・・・
・・・こいつ・・・
・・・何を言っている・・・
・・・なんて答えたらいい・・・?
「うそだ・・・」
「こんなの、都さんじゃない」
「だって・・・」
「お前が望むような・・・」
「無職を演じ続けてきたのは・・・
「お前の器を確かめる為だ・・・」
「お前は・・・オレの器を確かめる為の相手になる」
「そういう可能性を秘めている」
「お前は・・・オレをうとましく思い憎んでいた」
「このオレが働くことを望み続けていた・・・だからこそ教えてやる・・・オレの為に」
「愚かなるWorldxよ」
「このオレを働かせたくば・・・恨め!憎め!」
「そしてみにくく働き続けるがいい」
「働いて・・・働いて・・・社会にしがみつくがいい・・・」
「そして、いつかオレと同じ、生活保護をもって」
「オレの前に来い」
・・・・・・・・・・
僕はついに、彼に追いつくことはできなかった
彼は去ろうとしている、関東を
そんな彼を、僕は見送るしかできない
彼の電話により
おくりびと、アナザーストーリーが、はじまり
終わった
ここまでの思いを、僕は飲み込み
「いてら」
3文字にこめた
さよなら、都さん、来世でまた会おう
そういえば、雨はあがったのか?
空が、いつもより広い
青いし、大きいし、遠いようにおもう
当たり前のように眺め、わかりきっているような気になっていたのなら、何もわかっちゃいない
何で、こんなに青いんだろう
何故、雨がやまないんだろう
なんだかんだと、目先の幸せを追いかけて
みつからなければ、追うべき幸福すらつくりだして
僕はなんて平和な頭をしているんだろう
何かやっている気になってはいるが、自分をだましだまし
消費していく、時の積み重ねを
振り返ったとき、何を思えるだろう
楽しければいいのか、なんだって、楽しければいい
でも、楽しくないし、よくない
何でタヌキが喋るんだ?
一度も笑顔をみたことがない
オレが男梅タブレット一つ、ガムを三つ、フリスク一つ
デスクにおいてる時点で、言うべきことがあるだろ
そろそろお前は気付かなきゃならない
オレが寡黙に働き続けるサイボーグではないということ
オレがボルビックしか飲まないと決めているのにブラックコーヒーを飲んでいること
オレが合コンでは毎回、頭の中どうなってるんですかと聞かれていたこと
お前の隣にいるオレは、そういう男なんだぞ・・・
そろそろ気付け・・・!ばか・・・!
今日も変わらず・・・隣にいるのに・・・メールで打ち合わせ・・・
負けない事
投げ出さない事
逃げ出さない事
信じ抜く事
駄目になりそうな時
それが一番大事
もう無理
卍解

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