残りすべての人生に値しないだろうか?
しかしそれでも、ある一条の希望の光が、闇のなかにきらりと輝いたような気がした
彼ははじかれたようにその場から離れると、部屋に飛び込んでいった
彼女のもとへ
ふたたび、彼女のもとへ
永遠の女王のもとへ
たとえ恥辱の苦しみにまみれていようと
彼女の愛の一時間
いや、一分は、残りすべての人生に値しないだろうか?
この荒々しい問いかけが、彼の心をつかみとった
彼女のところへ行け
彼女ひとりのもとへ行くんだ
彼女の姿を見、声を聴け
何も考えず、すべてを忘れるんだ
たとえ、今日この一晩だけでもいい
たとえ、1時間でも
たとえ、一瞬でも
丁寧とはいえないまでも、
地道に、その重ねてきた心を、
すこしはほめてやってもいいのではないだろうか
そんな願いも届かず、日々、失われ続けている
一生懸命は、一体何処へ行くのだろう
何処へ行ったのだろう
一日が一時間のように思える
消えてしまいたい
夢となりたい、儚くてもいい、夢へといきたい
成る程、では行きましょう
夢の国
ディズニーランド
大丈夫、今の僕には、翼がある
デジタルイチガンレフ
ファインダーの向こう側には、コンパクトデジタルカメラとは違う
夢を、夢たらしめる世界が、広がっているはずだ
デズニイなんて、デズニイシーができたときに、行った以来だ
入場口を前にして、流れる音楽を意識して、
ああ、これは、夢の国だなあと
混雑を前にしながら、ようやく開封したデジタルイチガンレフを片手に
歩を進めた
そして、撮った
我も忘れ、撮った
倫理も忘れ、撮った
常識も忘れ、撮った
理性も忘れ、撮った
不思議なのが、コンパクトデジタルカメラとちがって、
撮ろうとすると、自然と、眼が合う事がおおいのです
つまり、カメラ目線の被写体を取れることが多い
現代の神秘
逮捕、5秒前
そんな風に、僕とリアルミニーは、暴走
お互いがお互い、迷子になりながら、
一体何度、マキロンに電話をもらっただろう
ごめんなさい、あなたがこの巨大な歯車を、欲望の潮流をとめてくれなかったら
おそらく、僕らは、何のアトラクションにも乗ることなく
よりよい天然の被写体を求め、園内を周回していたことでしょう
ましてやパレードなんか遭遇してしまった日には、捕食開始
パレードを貪る人類を、貪る、悪魔と化していたでしょう
マキロンの勇気ある決断によって、ただのお散歩ではなく
一日をかけ、なんとかアトラクションに二つほど乗り、
デズニイにきた意味を見出せました
あ、野生のミニー発見
あ、ゴールデンエッグスの、ベティ発見、あれもディズニーだったのか
さすが、夢の国ともなれば、被写体には困らない
それはつまり、一眼レフである必要は何処にもないのであって
もはや、ここがディズニーランドである必要も、何処にもなかった
夢は、夢である
この憂うつな、人生を切り開くことはできないかもしれない
しかし、眼を背け、ほんのすこし、逃げることはできる
野生の、ミニーを、撮ることはできる
これならあと、10年くらいは、生きられるかもしれない
翌日、ある高校の時の友人と数年ぶりにあった
お互い変わってないようで、色々変わっていたり
距離感がつかめなかったり、変な感覚だった
楽しかった思い出は、微かながら、未だ心に残っているにも関わらず
一体何を楽しんだのか
何を思い出に残しているのか
何を刻めたのか
何も思い出せない
まさか、何にもなかったかのように、結果だけが残されていて、すこし憂うつな気持ちになった
今更気付くには、遅すぎるのかもしれないが
人生を豊かにしたいと思うなら
こんな気持ちになるくらいならば
人との思い出はやはり、心に、残すべきである
何気ない日常を、ただ宙に浮いたような幸せは、未来に預けよう
否応なしにすぎてゆく
一瞬、一瞬を、心に刻みつける
思い出につながる、音、写真、エピソード
残していく
残りすべての人生に値する、一瞬は、逃さない
- Posted by at : 2009.6.22 | Comments [0]
- Category: [Crypin Story]
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