Rafuti

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キチイは、自分が微笑を浮べるようになった
心の動きを、
どうしても言葉に表せなかったにちがいない
しかし、キチイが最終的にえた結論は、
夫が兄のことに感激しながら自分を卑下している態度は、
けっして心底からのものではないということであった
キチイは夫がこうした偽りの態度をとる原因は、
夫が兄に対して愛情をいだいているためであり、
また、自分があまりにも幸福なことに気がさしているためであり、
さらには、
今なおたえず自己完成をしたいと望んでいるためであることを、見てとった
キチイは夫のそういうところが好きだったので、つい微笑を浮べてしまったのである
-アンナ・カレーニナ



Michael NymanのRafuti
たった一つの旋律、どうしてこんなに震えている
イヤホンで、一つの音も逃さぬようにと
身体中の力を抜いて、聴いていると、涙がでそうになった
こんなことって、あるんだろうか
何を感傷的になっているわけでもない
日常の中でふと聴いた、聴きなれた音楽を耳にし
心が震えている
この音楽は、一体どれ程の哀しみを背負っているのだろう
どうしたらここまで哀しくいれるのだろう
何らみえない背後を、独断で想像してしまう
そうでもなければ、とても理解できない
納得が、できない
ナビィの恋を観てから、
買うべきか、買わざるべきか、
悩み続けていた
この曲はナビィの恋のサントラにしか入っていないから
この思いを、その終点まで運ぼうと思うのなら
この曲の為だけに、アルバムまで買わなければならない
そう思いながら
数週間悩んだが、ある日
仕事中、Michael NymanのMollyを聴きながら思った
たかだが数千円の為だけに、こんなに心を乾かす
そんな罪なことを何故しているのだろうと
彼のつくる音楽にもはや何の疑いもない
それが例え一曲だろうと、
おそらく彼にとっては手抜きと言ってもよい作品だったとしても
一つの旋律の中で、微妙に揺れ動くだけのこの音の集合が
果たして何故、これほど重苦しく
そして僕から力を奪っていくのか
その不可思議を思えば、悩んでいる必要など何処にもないはずだった
そう気付いた
そうしてアルバムを手にし、音に埋もれ続けている


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