沖縄第三話と最終話:思い出の上に立つ曖昧な人生
全てを語る前に…
この男について…
話す必要があるだろう…
鎮目裕史(しずめゆうし)
通称:しんや
人は皆
路上に根をはる雑草に気を止める事はあっても、
大地に生える雑草は容赦なく踏みつける。
アスファルトを越えて成長し続ける、その魂に、敬意を表しているのか?
あるべき場所にあるべき姿で立つ生命との差は、一体何なのか?
人は何のために、アスファルトに立つ雑草を祝福するのか?
いわば、彼はそんな男なのである。
その答えなのである。
草?木?
いや、もっと何か、とてつもなく、大きい
大木・・・
平成に聳え立つ屋久島杉なのである。
やすまろ「とにかく…皆を運ぼう」
やすまろ「もう海は充分だ…」
Worldx「しんや、ここは引くんだ…」
Worldx「ここで引くのは…敗北ではない…」
Worldx「お前には、頂点に返り咲く能力がある…」
Worldx「無茶をする必要はないんだ…」
Pes「はいそうですかと、「納得」すると思っているのか?」
Pes「オレが?」
しんや「なんという事だ…」
しんや「…その…レーザーレイサー…」
しんや「いや…筋肉と言うべきか…そして…」
しんや「…お前…私と同じ能力を持っている…のか!」
Pes「なっ!?」
Pes「なっ!」
Pes「何を言っているッ!」
しんや「君」
しんや「一人かね…?」
しんや「さっきの…たかととひろまさと言ったか…ね?」
しんや「まだ溺れているのか…?」
Pes「う、動くな…!」
Pes「少しでも動いたらナマコを掴むぞ…ッ!」
Pes「オレは海から出ない…!」
Pes「暗くなるまで泳ぐッ…!みんなで…ッ!」
しんや「私の名は『鎮目裕史』」
しんや「年齢25歳、自宅は池上線長原の高級住宅街付近にあり…結婚はしていない…」
しんや「仕事は赤羽でプログラマーとして派遣されている、毎日遅くとも9時には帰宅する」
しんや「タバコは吸う、酒も好きなだけ飲む」
しんや「深夜1時には床につき、必ず6時間は睡眠を取るようにしている…」
しんや「寝る前には暖かい姉を眺め、冷たい弟の視線で身体をほぐしながら床につくと殆ど朝まで熟睡さ…」
しんや「赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに、朝、目をさめるんだ…」
しんや「血液型診断でも、中途半端と言われたよ」
Pes「な…何を話しているんだ!?」
しんや「私は常に『心の平穏』を願って生きてる人間ということを説明しているのだよ…」
しんや「『勝ち負け』にこだわったり頭を抱えるような『トラブル』とか夜も眠れないといった『敵』をつくらない…というのが」
しんや「私の社会に対する姿勢であり、それが自分の幸福だということを知っている…」
しんや「もっとも闘ったとしても私は誰にも負けんがね」
Pes「・・・・・ハッ!」
しんや「つまりPes君…君はわたしの睡眠を妨げる『トラブル』であり『敵』というわけさ」
しんや「ナマコを掴まれる前に…」
しんや「この場をおさめさせてもらうッ!」
Pes「オレの両手にはナマコがあるんだぞッ!」
Pes「トドメを…刺すッ!」
ビュッ!
Pes「…!?」
Pes「これは…ヤドカリ…!?」
かずや「しんやさん…君がいなければ…おれは…」
かずや「…死んでいたな…」
Pes「…ッッッ!」
Pes「たまげたな」
Pes「まさかその身体で立ち上がってくるとはな…」
Pes「しかし別の見方をすれば…気がつかないであのまま溺れていた方が幸福だったのにな」
Pes「その海パンから向こう側の景色が見えそうだぞ…」
かずや「いい海パンだな」
かずや「だがもう泳げないようにたたっこわしてやるぜ…」
かずや「きさまのナマコの方をな…」
Pes「…」
Pes「なかなかおもしろそうなヤツだな…」
Pes「君のお母さんの名前とか色々と君のことも知りたいところだが」
Pes「無駄話をしてる暇はもうないんだ」
かずや「…ガ…ハ…」
Pes「フフ…」
Pes「今の君のヤドカリだが…」
Pes「『ナマコ』に対抗しようとしたようだが…」
Pes「すごく『パワー』が弱かったぞ…」
Pes「小島よしおのギャグみたいに簡単に平静を装えた」
Pes「そんなに弱ってて私の『ナマコ』のパワーに勝てるとでも思っているのかね?」
Pes「ほら…!次の『ナマコ』だーッ!」
かずや「フン」
Pes「ウ…」
Pes「ウニだとォーーーーーッッッ!!!」
Pes「キ、キモイ…な…なんだ…?」
Pes「このキモさは…」
かずや「よく見たらやれやれ」
かずや「趣味の悪い『水着』だったな…」
かずや「だがそんなことはもう気にする必要はないか…」
かずや「もっと趣味が悪くなるんだからな…」
かずや「『ナマコ』の形の方が…」
かずや「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
かずや「オラァッ!」
ナマコ「ぶげあああっ」
Pes「(き…きもすぎる…)」
Pes「(なんだ?このウニ…)」
Pes「(節足動物のようにキモすぎる…)」
Worldx「今のうちだ…ッ!」
Worldx「陸にあがれ…!」
Worldx「帰るぞッ…!」
僕たちは何とか、Pesの暴挙を乗り越え
無事海を離れる事ができた。
たかともひろまさも、無事救助された
勿論、帰りの車では死んだように眠っていたけれど、命があれば
命があればいいんだ
そう思える程、極限の体験をしたのだと、思い返して考える。
一つ、気に掛かってやまないことがある。
しんやさんだった
10年近い付き合いの中で、今まで、彼に対抗できる『敵』はいなかった。
どんな障害も乗り越えてきた
ライオンが、大草原で悠々と昼寝をするのは
己の力を過信しているからでもなく、外敵がいないからでもなく
圧倒的な力をライオンが持っているからだ。
しかしもし
ライオンに対抗できる生物が、同じ野に放たれたら?
ライオンはその自らが持つ力ゆえに、その生物と共存はできないのだ。
しんやさんが、あのまま終わるはずがない…
横で運転しているPesを見て、僕はまだこの旅が終わりではないのだと確信していた。
その日、遊びつかれた僕たちだったが
ホテルへ戻り、すぐさま食事へ向かう事にした。
ホテルで、同室のかずやとこの旅行を振り返っていた。
残す日数はもう一日もない
早朝から遊び尽くしたが、未だ満ち足りぬ想いは二人とも一緒だった、が
お互い、ここまで8人でやって来れた事に、誇りを持っていた。
数時間後には床につき、朝にはもう沖縄を発たねばならない。
この旅はきっと、よい思い出になるだろうと、僕たちは話していた。
Worldx「あ、車に携帯忘れてきたみたいだ」
Worldx「ちょっと取ってくるよ」
Worldx「店は予約してある、もう数分だけここで待って、すぐ出て行こう」
Worldx「じゃ、少し行ってくるよ」
僕は部屋を出て、車に向かった
駐車場へ出た、その時だった
何か、何なのかは分からない
しかし、そこにあるべきではない「何か」が
僕たちのレンタカーの中にいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・ッ
「…あ、あ…あ…あ…」
「あああああああ…」
「ああああああああああああああああああああああああ」
僕は部屋へ戻った
Worldx「オレは何も見なかった」
Worldx「みんなで…行くんだ…」
Worldx「中華料理屋に…行くんだ」
Worldx「食卓を囲むんだ…この旅を終わらせるんだ…」
かずや「どうした?顔が青いようだが」
Worldx「行こう…じ、時間だ…」
かずや「そうだな」
Pes「こっちはみんな準備できている、行きましょうか」
博史「しんやさんがいませんね」
やすまろ「久しぶりだな、こんな人数で食卓を囲むのは…」
皆、部屋を出て通路に出ると、聴こえてくる
メロディ
通路からエレベーターまでは真っ直ぐ進むだけで
僕たちの部屋は通路のつきあたり。
一階に降りるまで、一つの通路を進み
エレベーターの前にある、ソファを横切り、エレベーターのボタンを押すだけだった
たったそれだけの単純な道のりを、何か途方もなく、
辿り着けるイメージすら沸かせる事ができない
異様な空気に、13階全体が包まれていた。
博史「しんやさんは…下にいるんでしょうか」
かずや「行くしかないだろう…下にいなければ、待てばいいだけの事だ」
やまないメロディ
Listen Shinya…
Listen Shinya, Listen Shinya, Listen Shinya
I can be your Shinya
I can be your Shinya……..
思い出という器から…溢れ出た…遠い記憶
私の家で、いつものように二人でくつろいでいた時
しんや「『ガチャピンに成る方法』があるかもしれない。」
Worldx「…?」
しんや「おい、妙な顔をするな。」
しんや「わたしの言ってる「ガチャピン」とは「精神」に関する事だよ。」
しんや「精神の向かう所…」
しんや「コスプレって事じゃあない。」
しんや「精神の「力」も進化するはずだ。」
しんや「そしてそれの行きつく所って意味さ。」
しんや「本当の幸福がそこにはある……「ガチャピン」に成る事ができればな。」
しんや「幸福とは、無敵の肉体や、ナマコを持つ事や、」
しんや「人の頂点に立つ事では得られないというのはわかっている。」
しんや「真の勝利者とは、「ガチャピン」を見た者の事だ…。」
しんや「どんな犠牲を払っても、わたしはそこへ行く。」
この事だったのか…
やすまろ「ば、ばかな…こんな事が…」
かずや「あるはずがない…」
たかと「終わってなかったのか…戦いは…」
Pes「これが…初めにナプキンを取るという事…なのか…?」
しんやの本気は疾走する。
笑いは…追いつけない…。
思い出とは、実に曖昧なモノである。
確かな記憶と思われた、過去の思い出が、
実の所、紛れもない自身の手によって合成された
偽りの過去
これは、有り得ない話ではない。
僕の友達「博史君」は、FFをやっていた頃
サイバーと呼ばれるほどのチャット魔だった
これは僕含め、かずや、たかと、ひろまさ
誰もが知っている事で、実際に出会った事のない
FFで知り合った人々の認識も同様のモノ…だが
当の本人「博史」は、全くそのようには思っていない
自覚していないのではなく、嘘をついているのでもなく
彼は、女性に放った卑猥な言動と、友人同士で交わした他愛もないやり取りを、混合し
彼にとって、何一つ偽りのない記憶へと
少しずつ、少しずつ、形成していったのであった
この場にいた、7人にも同様の事が起こった
彼とかずやが、唯ソファに座っているだけの記憶がもはや
僕の脳裏では…既に…
こうなっている…
Pesとしんやさんが、記念にとホテルに着いた当日
肩を組んでいる姿が…
脚色されている…
ただ…テレビを見ているだけの彼ですら
真実に思い返す事すら…
許されない…
精神の行き着く先…
僕たちが向かうべき中華料理屋が、この圧倒的スケールの前に
どれだけ矮小な目的で、どれだけ小さな「力」だったのか
しんや「祝福しろ…ガチャピンにはそれが必要だ」
僕たちはもう、何も言えなかった
黙って、中華料理屋まで、足を運んだ
店に入っても、夢はまだ…覚めない…
事もあろうか…
同じ店で食事をしていた子供たちも
屈託なき問いを投げかけてくる
1号「何してんの?撮影?」
2号「サイン頂戴」
3号「あたしにも頂戴」
4号「しねよ」
人を酔わせるのは何も、アルコールだけとは限らないのだ
食事をしながら、僕たちは、かつてない酔いを体験していた。
僕たち7人は、この空気に、奇跡に、現実に
明らかに酔っていたし、
何か引き返せない、とてつもない「力」を間近に感じていた。
帰り道、国際通りで、前を歩いていたしんやが足を止めた。
しんや「決着をつけよう…Pes」
しんや「そうさ…君たちが求めていたのは…この私さ…」
しんや「『本気』もみせた…『サイン』も求められた…」
しんや「もうどうやら…安心して熟睡できないらしい…」
しんや「ただし『今夜』だけだッ!」
Worldx「なにやってんだてめェー!」
しんや「見てのとおりだ…」
しんや「切り離す…」
しんや「い…痛いよ…」
しんや「なんて痛いんだ…」
しんや「視線をいっぱい感じるし…」
しんや「涙まで出てくる…」
しんや「だが私には勝ち負けは問題ではない…」
しんや「私は『生きのびる』…」
しんや「平和に『生きのび』てみせる」
しんや「私は人を笑わせずにはいられないという『サガ』を背負ってはいるが…」
しんや「『幸福』に生きてみせるぞッ!」
しんや「このガチャピンはもう…私には必要ない…」
しんや「Pes…お前が…使うんだ…」
しんや「誰が言ったんだったか…」
しんや「社会は…『最初に取った者に従う』…」
しんや「Pes…お前が…」
しんや「使うんだ…精神の行きつく先を…お前が…」
Pes「な…何を言ってるんだ…」
Worldx「や、やめろッ!」
Worldx「思い出を…これ以上思い出を壊さないでくれッ!」
Worldx「もう充分だろうッ!」
しんや「私は信じているぞ…Pes…」
しんや「ようこそ…ガチャピンの世界へ…」
しんやはこうして、沖縄の闇に消えていった
Pes「う、うわああああああああああ」
Pes「すぅぅぅぅんごぃパゥワ…」
Pes「ハァッァアッァァァ」
Pes「すんごいパワアだ…」
Pes「フフ…この旅を終え…しんやさんではなく…私が手に入れた…」
Pes「誰もが『敬意を払うなにものか』…ガチャピン」
Pes「このパワーの下には、味方しかいない…」
Pes「味方とは、尊敬の念でもなければ、圧倒的な強さ…でもない…」
Pes「味方とは、『思い出』…だ…」
Pes「誰もが…私に対して抱く…良い思い出…」
Pes「その世界には…もはや現実すら無力…」
かずや「こ…こいつ…何を言ってるんだ…」
Pes「人に何かを伝えるというのは素晴らしい事だ」
Pes「だが時としてカスが残る…」
Pes「『現実』というカスがな…」
ひろまさ「み、見ろ…」
ひろまさ「一体、何が起こっているんだ…通行人が…どんどん倒れていく…」
ひろまさ「死んだのか…?眠っているのか…?」
たかと「脈はあるようだが…息はしていない…」
Pes「現実は必要ない…」
博史「Pesッ!お前なのか!」
Pes「私がいくら高みに登ろうとも何の意味もない、必要なのは…友人たちの『思い出』」
Pes「この世には…もう…私にとって!」
Pes「よい『思い出』しか存在しなくなるッ!」
Pes「この旅を終え、私はそれを手に入れたッ!」
Pes「つまり、私を知る者以外に『思い出』は…ない…」
Pes「直にお前たちもそうなるがな…」
■神奈川県横浜市港南区港南台スーパー前
市川夏江「山田さん、昨日肉じゃが作りすぎちゃったんだけどもらってくれないかしら?」
市川夏江「今、うちの子も沖縄へ旅行に行ってて、お父さんしか食べる人がいないんでねぇ」
山田「ありがとう、助かりますわ」
山田「いつもいつもありが…と…」
ドサ
市川夏江「や、山田さん…?」
市川夏江「山田さん…!?大丈夫?!」
市川夏江「だ、誰か!誰か救急車を…!」
市川夏江「え…み、みんな…」
市川夏江「店員さんまで…倒れている…」
■神奈川県逗子市消防署3階
林「市川さーん、ちょっとこの書類に判子押してもらっていいですか?」
市川権座「いいだろう…、入りたまえ」
林「すみません、ここにちょっと押してもらうだけでいいんで」
林「あ、朱肉つけすぎないでくださいね」
林「それにしても市川さん、相変わらずキレイなへ…や…」
林「g…」
市川権座「林、どうした?」
市川権座「おい、いきなり何寝てるんだ」
市川権座「いや、息を…していない…だと…?」
市川権座「誰か!誰かいないか!」
市川権座「誰もいない…」
市川権座「一体、どうなっているんだ…」
■名古屋、となる喫茶店
大兄「ノブさん、今度のかめはめ波選手権だが…どうする…?」
ノブ「そうですねェ…、果たしてオレが出る程の大会になるかどうか…」
ノブ「やはり相応の舞台が…必要ですからね…」
大兄「そうだな…もしノブが敗北した際にはオレも出よう」
ノブ「え、に、兄さんが!?」
ノブ「やめてください!遊びにならないですよ!」
ノブ「大会といえどエンターテイメントなんです!」
ノブ「お願いですから!に、にいさ…ん…」
大兄「おいおい、ノブさん」
大兄「いくらノブさんでも話しながら寝るなんてレベル高すぎるだろう」
大兄「ノブさん…?ノブ…?」
大兄「みゃ、脈が…」
Worldx「だ、だめだ…」
Worldx「電話もつながらない…」
Worldx「一体どうなっているんだ…」
Pes「現実は私を中心に…『思い出』に変わる…」
たかと「たった今…アメリカで西海岸からとてつもないスピードで…」
たかと「人々が睡眠に入ってるというニュースだ…」
たかと「奇跡的に起きているOndoriと名乗るハッカーが世界規模に…通信を仕掛けている」
Worldx「何が起こっていると言うんだ…」
Pes「お前たちの知っている…世界…常識…社会…全て」
Pes「私への『思い出』へと変わる」
Pes「私が私であり、お前たちがお前たちであるというのは」
Pes「確固たる現実のようでいて、実の所…如何に曖昧な…」
Pes「記憶の…思い出の上にあるのか…」
Pes「時も…記憶も…もはや何の意味も持たない…」
Pes「必要なのは…思い出だけ…」
Pes「さらばだ」
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“えー、SMAPのイチナオこと市川直樹さんが”
“昨日を持って、この人気アイドルグループを脱退し”
“本格的に政界へ足を踏み入れ、総理大臣を目指すという発表を行い”
“本日夕頃には記者会見をひらかれるというニュースです。”
Worldx「ん…朝…か」
Bee「ほら、Worldx」
Bee「早く起きないと学校に遅れちゃうわよ、ちゃんとご飯食べて」
Worldx「分かったよ…母さん」
Worldx「あのイチナオがSMAP脱退かー、やっぱ日本の宝だなァ」
Worldx「あれ、だいあにぃさんは?」
Bee「ああ、だいすけなら整体師のセミナーだって言って早くに出て行ったわよ」
Worldx「ちぇ、兄さん今日は遊んでくれるって言ってたのに」
Bee「遅刻するわよ、ちゃんとランドセル持って、宿題は机からちゃんと持ってきた?」
Worldx「ああ、行ってくるよ、晩御飯にトマトは出さないでよー」
Worldx「ヒロシ、行ってくるよ!いい子にしてまってろよ」
Worldx「帰り道でまたビーフジャーキー拾ってきてやるからな!」
ヒロシ「ワン!」
Bee「(犬を飼いだすなんて言いはじめた時はどうなるかと思ったけど、買ってあげてよかったかもね、ふふ)」
かずや「わーるどくーん」
Bee「ほら、Worldx、かずくんが迎えに来たわよ」
Worldx「聞こえてるって!母さんはいちいちうるさいんだよ!」
Worldx「かずくんお待たせー、行こー」
かずや「なぁ、今日のニュース見た?」
かずや「イチナオがSMAP脱退だってさ」
かずや「やっぱ憧れだよなー、あんなに人気グループでトップなのにさ」
かずや「そっから更に総理大臣目指すっていうんだからよー」
Worldx「それならニュースでちょっと見たよ」
Worldx「寝起きだったからあんまり覚えてないけど、やっぱかっこいいよねー」
Worldx「いつかうちらもあんなふうになりたいなー」
かずや「いやいや、無理だって!」
かずや「うちら小学生が、どんだけ未来あるっていってもさ」
かずや「やっぱ人間って器ってのがあると思うよ」
ひろまさ「その通りだね」
かずや「うお、ワセ君、いたのか!」
Worldx「ワセ君、おはよー」
ひろまさ「ずっと後ろにいたよ」
ひろまさ「でもやっぱイチナオはすげーよな」
ひろまさ「オレもお前らより一個上の学年でさ」
ひろまさ「やっぱ若いっていいなって思うけどさ」
ひろまさ「若さとかじゃどうにもならなそうなオーラ持ってるな、あいつは」
ひろまさ「日本の歴史上であんなすげーやついないんじゃないんかな」
ひろまさ「前イチナオが5分で書いて出版したお料理本なんて、ミリオンセラーだぜ、3時間で。」
かずや「そういえば昨日のサイコメトラー英士見た?」
Worldx「あ!昨日からはじまったやつ?」
かずや「そうそう、あれうちらと同年代らしいぜ」
Worldx「そうなんだ、すげーなぁ」
かずや「お、やすまろとたかとじゃん」
かずや「たかとー、やすまろー!」
たかと「お」
やすまろ「おはよー」
Worldx「いつものメンバーが揃ったね」
Worldx「じゃ、学校いこっかー」
Worldx「イチナオの話は遠い世界すぎて、気がまいっちゃうよ!」
Worldx「(ふふ…しかし今日見た夢はみんなには言えないな…未来の思い出なんて)」
Worldx「そうだ!今日も昼休みはラジコンやろーぜー」
「誰もあなたになれない事を、知ってしまう、それを永遠と呼ぶのだろう」
時間よ止まれ
この手に止まれ
一縷の雨は途切れて消える
誰も貴方になれない事を
知ってしまうそれを永遠と
呼ぶのだろう
想いは指を絡めるように
この夜を次第に燃やして行く
さよならの終わりを擦り抜けて
今でも身体を抱く
蛍 この星を舞い上がれ
遠く近く照らして踊れ
その一瞬が永遠だと
貴方は教えてくれたひと
時間よ止まれ
この手に止まれ
光の影は薄れて落ちる
握り締めた二人の手のひらが
汗ばむ熱を上げていく
側にいて側にいて繰り返し
今でも哀しみを抱く
蛍 この闇を舞い上がれ
涙で霞む夜空を踊れ
その一瞬が何もかもだと
貴方は教えてくれたひと
硝子越しでもかまわないと
私は無力さを晒して行く
愛なんてわずかなものを
頼りにしたあの夏を
蛍 この星を舞い上がれ
遠く近く照らして踊れ
その一瞬が永遠だと
貴方は教えてくれたひと
蛍 鮮やかに心を焦がせ
強く弱く光って踊れ
全てのときは一瞬だと
貴方は答えてくれたひと
貴方は教えてくれたひと
完
思い出をありがとう!
- Posted by at : 2008.9.30 | Comments [2]
- Category: [Crypin Story]
Mist
MistをTSUTAYAで借りた理由、全く覚えていない
寝るまでまだ2時間くらいあるし、見てみるかと
あの時の僕は、軽い気持ちで、テレビをつけたんだったと思う
予告が最近の映画を流しているのを見て、この映画がそこそこ最近のものだと確認した。
どんな映画なのか、さっぱり分からないまま見始め
俳優も誰が誰だか分からない
これははずれたかなと疑いを持ちつつ鑑賞し続け
開始30分頃だっただろうか
思わず笑ってしまうくらい、落胆した。
少なくとも、単なるホラーとか、いわゆるB級映画と言われるような
怪物が出てきたり、殺人鬼が出てきたり
ぐろいだけの狂気染みた映画に何の魅力も感じない人間だから
そもそも期待している事すら間違いだったのだと
心を説き伏せ
もはやテレビの向こう側を眺めている程の、気の抜けた鑑賞をしていると
ふと、所々、違和感を感じ始める。
登場人物の表情、場の空気、言葉たち
現実とは掛け離れた、狂気の世界に生きている、登場人物たちが取る選択肢
あまりに人間的な、諸々の行為
そのうち、始まった頃よりカメラワークに、何か只ならぬ力を感じていた事を思い出す。
特に自身の眼に、自信があるわけでもないから
やり過ごしていた、私たちの為にある目線
そのカメラワークに注意を払ってすらいなかった、違和感の域は出ない。
ハリウッドや、少年向け漫画や、ポップな音楽でも。
あまりに現実を無視した、人が本来持つ絶望を無視した、生を上回る何か
恐怖、絶望、哀しみ
そのバランスを保つ、宗教
目に見えない恐怖に対抗する為、目に見えない希望に賭ける人の性
あらゆる可能性に対して、ノーと言い切れない人間が観て、思う
想像力が、一定のラインを越えた時、思う
人工の希望に、人の欺瞞を感じてやまない嗅覚が、思わせる
実際の所、人はどうなんだと
自殺へと歩み寄る人間は、おそらく目の前の何かしか見えていないのだろう
人は忘却に頼った生き物なのだと、信頼できていないのだろう
思い返す恐怖からすら逃れたいのだと言うのだろう
しかしもし、そんなちっぽけな心の弱さとは別に
いたく純粋に、絶望と隣り合わせになったら?
きっと死を肯定するだろう
その段階まで私を持ち上げてくれた。
神を肯定しているようで、実の所
中立、いや否定と言ってもいいかもしれない
少なくとも無条件に頭を下げてはいない
主人公の選んだ選択は、息子との約束を精一杯守ったものだった
誰もが自身の決定で選んだ道を行った
そうさせるだけの状況にあった
社会に成り立つ、常識が、人間本来の思考を矯正し
誰もが、現実というおよそ普遍に思える絶対条件に
安心をおき、肩を預けている
しかしもしその、現実と言う絶対条件が崩れたら、人はより獣に近くなる
単純で、浅はかで、許される境界を見失う
そもそも、許しなど、何処にも存在しない
人の許しなど、何の価値も、力も持たない世界
神の許しでなければ、救われない世界
この映画を観終わって、真っ先に考えたのがこの「許し」について。
観終わった後、これは一体何だったのだろうかと
この感嘆は幻なのか
一体誰がこんなモノを作れるのかと思い
エンドロールを眺めていると、ようやく全てに合点がいった
スティーブン・キング
フランク・ダラボン
本来のスティーブンキング色が強い映画なのだろうが、
やはりフランク・ダラボンの優れた力量があってこそのモノだなと直感した
それとちょっと、自分の嗅覚を信頼した
音楽の使い方も、非常によかった
エンドロールがここまで重い映画は他に知らない
- Posted by at : 2008.9.30 | Comments [0]
- Category: [Review]
沖縄第二話:その男、栄光を掴む
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- 沖縄旅行
ヤッホーヤッホッホーノーブラヤッホー♪
ワンゼだよ~
沖縄旅行第二話、始まるよ~
20代も半ばに差し掛かり、僕たちだけのミレミアムを求めて沖縄までやって来た8人
旅行二日目にしてようやく、真実の太平洋を浴びる彼らの身に立ちはだかる新たなる壁
カメラの向こうでしか目にする事のなかった景色へ溶け込み
紛れもない現実をかみ締める彼らに一体何が起きるのか?
旅行中でも日夜二酸化炭素の濃度を気にして過ごす早稲田生ひろまさ
天国への道を目指し「惑星フリーザ」をひそかに求め、沖縄まで訪れたかずや
出発前夜、進めたシムシティをきちんとセーブしたかどうか、不安で何処かおぼろげな瞳、ひろし
そして・・・
目的地である、伊江島へ向かう途中
思わぬこの旅行の「目的」を語ったぺす
それを聞いてしまったWorldx
各々が心に確かな模様を描きつつ、沖縄旅行という殻をかぶせる・・・・・
Worldxは、いち早く太平洋を感じていた。
この海が、彼にとってまだ想像の産物であった頃、
「こうやって泳ごう」
「ああやって遊ぼう」
「あのように飛び込もう」
そう何度も頭の中で反芻し、着替えてからビーチへ駆け込むまでを幾度となく頭の中で繰り返していた、あの頃…
いざその時になると、彼は、あれ程盲目に願い求めていた海が、
幸福が、希望が、期待が、夢が、およそ前向きな諸々の彼が投げかけた問い
そのどれもが、目の前のビーチとなり存在している感嘆を忘れ
太平洋を目指し、砂浜を駆けているのだった
彼はもはや、走っているのではなく、
何か彼自身の想いにも寄らぬ力で、
その太平洋へ運ばれていくのだった。
沖縄と一つになった事を心から気高く思い、耽りながら
彼は追ってくるPesを見て、フェリーでのやり取りを少し思い出したが、
すぐにまた、この状況に没頭した。
8人が皆、待ち焦がれていた
沖縄の海を肌で感じ、泳ぎ、潜り、浮き、
想像が現実に変わる瞬間を各々が各々の方法で、手段で、楽しんでいた
海に浮きながら、かずやが静かに言った
かずや「なぁ…知ってたか? 沖縄の年間平均旅行者数は、1日で14,119人だそうだ。」
かずや「この間は伊豆へ行ったが、 あれは飛行機を使わない。」
かずや「沖縄は飛行機を使い何年にもわたって毎日だ…。 」
かずや「観光地として頭角を現したのは数十年前。毎日1.5万人もの人間が飛行機とツアー時間に追われ、 この2つは必ず利用して帰っていくというわけだ。スゴイと思わないか?」
ひろまさ「スゴイというのは数字の話か?」
かずや「そうではない…すぐれた土地や海は」
かずや「自分の『エネルギー』を目に見える形に できるという所だな。」
かずや「まるで時空を越えた『フリーザ』だ…」
ひろまさ「興味深い話だな…沖縄が惑星フリーザかい?」
この会話を泳ぎながら耳にした僕は、驚愕した。
何故、気付かなかった?
少しでも、疑問に思うべきだったのだ
東洋の小さな島国に過ぎない、日本が、その島に生息する日本人が、
何故こうも、自分たちより小さい島へ、焦がれ、求め、夢を、幻想を抱くのか
それは、この沖縄という地に、何かとてつもない力があるからなのだ
常識などという甘ったれた理由で誤魔化し、こんな事実すら見落としていたのだ。
かずやは、はなっからその事に気付き、その真偽を確かめる為に、この沖縄旅行という選択を行ったのだ。
そんな僕の驚きを、見透かしたように、かずやは続けた。
かずや「人と動物の違いとは一体何か…君に分かるか…?」
かずや「それは天国へ行きたいと思う事だよ…」
かずや「犬や博史に、その概念はない…」
ひろまさ「たしかにそうだな…」
今になって分かった
気付くのが、遅すぎたのかもしれないな
しかし、とにかく僕は、考えが甘かったのだと
ああ旅行だなどと、無目的に、自身の意志もなく、こんな土地まで来るからこうなるのだ
僕は自分を恥じ、皆の深遠に圧倒されながら、陸へあがった
売店のおばちゃんにカキ氷を頼み
沖縄に来てからの全てを思い返していた
頭に浮かぶのは、シートベルトをしていないタクシーの運転手
Pesが「沖縄の人ってシートベルトしないんですか?」と聞くと
子供に何故雲は掴めないのかと諭す親のような口調で、運転手はこう言った
「ああ、めんどくさいですからね」
僕はそんな事を思い返しながら、未だ何一つ沖縄を満喫していないと気付く
例え皆のような確固たる目的を、この旅行に持ってはいなくとも
僕は僕らしく、
心のキャンパスに描いた沖縄を、現実にかえようじゃないか
そう悟り、再度海へと飛び込もうと、ビーチを横切ると
博史が・・・
千葉が・・・
英雄が・・・
サナギになっていた・・・
その周りを囲む、6人
僕が物思いに運転手の事などを思い返し、立ち直るまでの間
彼らは、このようなリゾート地に於いてもまだ生産性溢れる行為に
肉体を、精神を注ぎ込んでいた。
勝てやしない・・・勝てやしないよ・・・・・
その時・・・
羽化した博史は、何事もなかったように立ち上がり
海へと帰っていった
僕たちは追った
何処までも深く潜り
泳ぐ先が何の障害もなく見渡せる海中で、前に進み続けた
刹那・・・
何処までも透き通る海から、何かが見えた。
う、うわああああああああああああああああ
あああああああああああああ
あああああああああああああああああああああ
僕は叫んだ
なまこ…
やすまろ「あ、あの物体は・・・」
たかと「無闇に近づくんじゃあない!」
かずや「完成していたのか…ナマコシリーズ」
博史「カルピス飲みたい」
ひろまさ「ここは沖縄だぞ…まさか…」
しんや「終いにはこんなものまで見えやがる…」
Pes「…」
ともかく一人の男が、動いた。
…たかと
大阪出身の人間サイボーグ
僕たちの楽しいリゾートに、圧倒的スケールで立ちはだかるこの獲物相手に…
決着をつけようと、彼は立ち上がった…
その瞬間、ひろまさも視線を落とし、海水で悠々と構えているナマコを目の前にし泳ぎをやめ…戦闘態勢へ入る。
早稲田という誇りが、京大卒のたかとの構えに対して黙っている事を許さなかった
熱は、伝達する・・・
ひろまさの行為を、すぐ傍で見守っていた博史が…
羽化したばかりだというのに…
動き出した
博史「甞めて貰っちゃ困るな…」
…空気は…張り詰めていた。
ひろまさ「たかと…何をするつもりだ…?」
博史「答えてもらうぞ…!」
たかと「会話をするのは…一人ずつにしたい…」
たかと「どちらかひとり…」
たかと「あそこの彼くらいまで後ろに下がってもらえないか…」
しんやを指差しながら、たかとは静かに口を開いた。
博史「…あのなあ…」
博史「おまえさんが何をしたいかとかはオレたちには関係ねえ事だ」
博史「今の質問にサッサと答えな」
たかと「もし…ここで今からナマコの掴みあいになるとしたなら…」
たかと「だ…」
たかと「君はオレに勝てない」
たかと「『左の彼』なら可能性はある」
たかと「だから君が後ろに下がれ」
ひろし「…!?」
ひろまさ「…」
かずや「…」
たかと「悪い事は言わない…君は下がれ」
たかと「もう少しだけ話をしてやろうか…?」
たかと「左の彼にはいざという時、ナマコを掴みにかかる『漆黒の意志』が心の中にある…」
たかと「だが君はそうではない…そういう『性』…」
たかと「だから下がれ、それが理由だ」
たかと「君はオレが行動したら、それをパクろうとしている」
たかと「それが心体にこびりしている」
たかと「『エロゲ』ではすぐれたものがあるのかもしれないが、こびりついた」
たかと「『正当なる防衛』ではナマコを掴むことは決してできない」
たかと「中2病の『パクリ魔』はここでは必要なし」
ひろし「こいつ…この男は…」
かずや「や、やめろ…ッ!」
かずや「お前たちはナマコを分かっちゃいないッ…!」
かずや「なんでライフセーバーがこんな僻地にまでいるのか考えてみろッ…!」
かずや「ナマコの前には…」
かずや「オレですらが立たない…!」
かずや「立てないッ…!」
Worldx「やすまろさん…あいつは…本当にナマコなのか…?」
Worldx「ナマコならライフセーバーが何とかしてるんじゃあないのか…?」
Worldx「実際、オレなら米軍を呼ぶし、何度もそうしてきた」
Worldx「が、奴は此処にいる、観光客用ビーチなのに座しているんだぞ…!」
やすまろ「考えられない…ビーチというならいないはずだ…」
やすまろ「私の地図にもビーチと書いてある…」
やすまろ「確実に、「いない」はずなんだッ!」
かずや「答えは分からないが、ビーチだという事は」
かずや「ナマコがいるという事は確かだッ!」
しんや「たかとが動くわ…」
Worldx「Pes!もしもの時の救助を急げッ!」
Worldx「ひろまさッ!ナマコはどうなっているッ!変な気は起こすなッ!」
Worldx「他にナマコはいないかッ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Worldx「・・・」
Worldx「ひろまさ…?」
Worldx「・・・」
しんや「・・・?」
かずや「・・・?」
たかと「・・・?」
博史「・・・?」
かずや「分からない…何故…潜水したのか…全然分からない…」
Pes「ど、どくんだ…みんな…」
Pes「私を前へ…前へ行かせてくれ…」
Pes「じゃまだ…そこをどいてくれみんな!」
やすまろ「考えられない…こんな事…絶対に有り得ないッ…!」
Worldx「やすまろ…ッ ナマコを見張れ…ッ! 他のナマコを見張るのだ…ッ!」
ひろまさは溺れた。
やすまろ「…有り得ない…スザンヌでもいない限り…」
博史「そもそもナマコがいるはずがなかったんだ…」
Pes「任せるんだッ!みんな…私に任せるんだ…ッ!」
Worldx「ば、ばかな…あっけなさすぎる…」
Worldx「早く救助をッ!Pesッ!」
Worldx「救助をしろーーーッ!」
・・・・・・・・・
Worldx「か、かずや・・・?」
博史「に、逃げよう…」
博史「危険すぎる…」
博史「オレ達は旅行に来ただけなんだぞッ…!」
Worldx「博史…少し黙れ…」
Worldx「かずやが…かずやがいないぞーッ!」
たかと「ッ…!」
たかと「いつの間に…」
たかと「救助に潜ったのか…ッ!?間に合うはずがない…!」
Worldx「ち、ちがう…」
Worldx「救助は救助でも…ナマコに向かっているゥーッ!」
Worldx「か、かずや…」
Worldx「あ…あんたの…「魂」は…」
Worldx「今…ナマコを掴もうとしている…その「魂」は!」
Worldx「あんたが…あんたが掴もうとしている『ナマコ』は…!」
かずや「Worldx…」
かずや「オレは生き返ったんだ…」
かずや「この旅行に来た時」
かずや「ひろまさが溺れた時に…」
かずや「救助するだけだったオレの「魂」は…」
かずや「生き返ったんだ…」
かずや「みんなのおかげでな…」
かずや「幸福というのはこういうことだ…これでいい」
かずや「気にするな、フリーザによろしく言っておいてくれ…」
Worldx「か、かずやーッ!!!」
たかと「だ、だめだ…」
たかと「俺たちは所詮人間なんだ…」
たかと「ナマコに敵うはずがなかったんだ…」
やすまろ「み、みろ…」
やすまろ「ナマコは無傷だ…」
博史「ば、ばかな…」
博史「かずやが…ひろまさが…」
博史「全てを賭けた潜水が…」
たかと「ちくしょう…ちくしょう…」
たかと「チクショオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
Worldx「たかと、馬鹿な真似はよせーーーッ!!!」
やすまろ「もう3人目…」
やすまろ「オレは降りる…」
博史「オレもだ…」
Worldx「だから言ったんだ…」
誰もが諦めかけたその時
一人の男が、口を開いた。
Pes「ひろまさ君…君は…精神的には…そのナマコに勝っていたぞ…」
Pes「そしてやれやれ…間に合ったな…」
Worldx「ぺ、ぺすさん…その…その水着は…」
やすまろ「レーザーレイサー…ッ!」
Pes「順番は…オレからになったな…」
Pes「ナプキンを取るのは…」
Pes「お前たちには計り知れない事だろうが…」
Pes「公務員は暴走する…」
Pes「お前たちが始末されるのは…人類の未来の為だ…」
Pes「ナマコを手にした者の下には…味方しかいない…」
Worldx「(しんやさん…あなたの出番だ…)」
しんや「(わかってる…)」
しんや「(だが…もっと近づかないと無駄だ…!)」
しんや「(「水着」を脱いでも距離が遠すぎてレーザーレイサーには勝てない…)」
しんや「(最低でも5メートルまでは近づかなければ…)」
博史「レイザーレイサーだとォ…」
博史「やるならやってみろッ!」
博史「ひろまさも…かずやも…たかともやられたッ!」
博史「消防士なんかに何ができるッ!」
Worldx「ち…違うんだ!!!」
Worldx「レイザーレイサーなんてなまっちょろいもんじゃあない!」
Worldx「僕は知っている…!水着は水着でも…」
Worldx「い…今まで説明するヒマがなかったけどあいつには隠された「能力」があるんだ!」
Worldx「筋肉っていう海水をぶっ飛ばす能力なんだー!!!」
博史「…」
やすまろ「…」
しんや「…」
Worldx「前のときもそうだった…」
Worldx「それは…僕や…博史みたいな無力な人間の前にだけ発揮して…」
Worldx「Pesがどうしようもなく追い詰められた時にだけ偶然的に産み出すことのできる「能力」なんだーッ!」
Worldx「つまり今のように!!!」
Worldx「あいつがとことん絶望した状況に発動できる…単純に思いっきり泳ぐだけの強力な水着なんだッ!」
Pes「あなたの「肌」…」
Pes「とてもなめらかな関節と皮膚をしていますね…」
Pes「黒くってカワイイ肌だ…」
やすまろ「ナマコに話しかけ始めたぞ…ッ」
Pes「ほおずり…」
Pes「…してもいいですか?」
Pes「「ほおずり」…するととても落ち着くんです…」
Pes「アフウウウ」
Worldx「正気の沙汰か…」
Pes「フウウウウウウウ~~~」
Pes「わたしは…子供の頃…」
Pes「民放の「世界うるるん滞在記」…ってありますよね…」
Pes「あのTV…居間で見た時ですね…」
Pes「あの「ナマコ」が海水のところで座っている…あれ…」
Pes「初めて見た時…なんていうか…その…下品なんですが…フフ…」
Pes「勃起…しちゃいましてね…」
しんや「…」
Pes「「ナマコ」のとこだけ録画してしばらく…」
Pes「夏休みの自由研究にしてました…」
Pes「あなたも…録画したい…」
Pes「わたしの名は「市川直樹」…今まで48匹のナマコを救いました…」
Pes「あなただけだッ!」
Pes「私の「本名」を知る者はあなただけになる!」
博史「イカれてるのか…?この状況で…」
Worldx「たっ!大変だっ!筋肉革命が始まるぞッ!」
Worldx「い…今!Pesを止めないと…Pesがナマコを使いはじめてしまうんだーッ!」
Worldx「しんやさん…ッ!!!」
Pes「来るか…!しんや…」
Pes「消防士はお前に勝ちたい「一心」で見つけ出した職業だ!」
Pes「近づいて来いッ!」
Pes「服を脱いでみせろ!」
Pes「何秒服を脱いでいられる?」
Pes「このわたしをもっと追い詰めるがいいッ!」
Pes「その「ギリギリさ」がきっと!」
Pes「筋肉革命を発現させるのだッ!」
Worldx「しんやさんッ!服を脱げッ!」
Worldx「Pesにナマコを掴ませるなーッ!」
Pes「いいや!限界だ!喰うねッ!」
Pes「フ…フハハハハ」
Pes「取ったどーーー!」
Worldxは、思い返していた。
Pesがかつて話していた、ナプキンを取れる者が世界を決めるという事を
その円卓に座るのだと彼が言っていた事を。
僕たちの間で、絶対的暴力として存在していた人類の最終兵器…しんやを目の前にして…
Pesは今…確かに…
その手に…
ナマコを持っている…
Pes「聖なるものを犬にやるな」
Pes「彼らはそれを足で踏みつけ向きなおって」
Pes「あなたがたにかみついてくるであろう」
Pes「マタイ伝7章6節」
ビュッ!
博史「あ…あ…うあ…」
Worldx「ひ、ひろしーーーッ!」
直撃。
Worldx「ま…まさか…」
Worldx「しんやが…何も出来なかった…」
Worldx「そんな馬鹿な…」
しんや「(ハ…)」
しんや「(みんな…なんて顔してんだい…)」
しんや「(かずや…たかとまで…)」
しんや「(心配するな…)」
しんや「(俺はまだ…使用っちゃいない…ッ)」
しんや「(俺だけが掴んだ…)」
しんや「(俺だけの水着ッ…!!!)」
しんや「来いやァ…ぺすゥ…」
次回、沖縄旅行第三話「対峙する、男の美学」につづく
- Posted by at : 2008.9.26 | Comments [4]
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沖縄第一話:盗撮と芸術の狭間で揺れるキャベツ共
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この夜空にさっき流れ星を見た…
「三つ」だった
「三つ」…たしかに「三つ」だったんだ…
君は何処から来た…?
自分が「何者」だか知っているのか?
この日記の閲覧が真の「目的」か?
違う… そう違う
だが…この「日記」は、
あとほんの少しで私と君の友情をぶち壊す領域まで踏み込んでいる。
これは偶然だ、偶然このギリギリの「内容」で止まったんだ
これ以下の内容では私は日記を書く気にはならなかっただろう
どうする?
君の意志だがちょっと「コメント」をしてみるか?
だが、その前に君は「引力」を信じるか?
人と人との間には「引力」があるという事を
私は今、それを信じた。
君は私を押し上げる為にいた。
君は私の沖縄旅行という「引力」に引っ張られてここに来たんだ
今夜の晩御飯は何かななんて事でエネルギーを消耗しているんじゃあない
気がついていないのか?
君の「感想」は正しい方向へ使うのだ
そしてお前は…自分の「目的」が何なのか…?
たぶん知らなかったようだが…
これから知ることになる…
今回沖縄へ向かったメンバー8名
今回の旅行発案者であり、此処まで僕達を押し上げてくれた現役プロボウラー
かずや・・・!
神奈川県東地区港南台郵便局大船専門逗子高等消防署勤務喋る筋肉
ぺす・・・!
早稲田
ひろまさ・・・!
関西からの刺客、人間サイボーグ、歩くオニオンソードの異名を持つ男
たかと・・・!
山崎パン高井戸工場ピクルス担当
やすまろ・・・!
アメリカ合衆国大学在籍でいながら帰国時に日本語が上達しているという暴挙を体現する男こと渡米した屋久島
しんや・・・!
お待ちかね、ゆとり教育の申し子、高校生皆伝
中学時代のあだ名は「野生のキャベツ」
現在千葉第一期総理タイ人を目指し目下シムシティ中
ひろし・Noris・ミヤコ・・・!
そして初めて出会う女性には必ず「頭の中どうなってるんですか?」と聞かれる僕
Worldx
予定通り、僕たち8人は12時に羽田を出発した。
当日の予定は、近場のビーチで沖縄を満喫する
それも半端なビーチじゃあ駄目だ
これは沖縄の海なんだと、一発で誰もが分かる
澄んだ、水色の、白い砂浜
僕たちに必要なのは、この要素だ
いいか、勘違いするな、ビーチとは泳げる海ではない。
僕たちは沖縄に到着し、レンタカーを受け取り
ビーチへ向かった
僕たちの計画に狂いはなかった
唯一・・・
足りないものがあったとすれば・・・
常識・・・
ホテルに荷物を置き、考えられる最高の速度で、手段で
ビーチへ到着した僕たち
僕はその場で服を脱ぎ捨てビーチへ駆けて行った
何か、ビーチ全体に聞き覚えのある音楽が鳴り始めたが
そんなものは僕に何の関係もなかった
沖縄の海という、僕の想像で限界値まで膨らんだ太平洋に足を踏み入れた瞬間
その温度を感じ、これなら寒がりの僕でも泳げる、そう思った刻
海の中から、ライフセイバーがこう言った
「本日の遊泳時間は終わりました。」
勢いあまって孤独にも海水に足を着けた僕は
都博史に400円とオーザックを手渡し、ビーチサンダルを買いに行かせた。
この時点で、彼がこの旅行に来た意味の9割は消化される事となる。
とにかく・・・僕たちの物語は・・・ここから始まる・・・
沖縄時間 PM 6:00 Worldx:海水浴未遂
沖縄に辿り着いた僕たち8人が、あの時、あの場で、あの旅行に
その8人でいる訳は、はっきり言って、特にない
いつもどんな飲み会であれ参加しているメンバーもいれば、なかなか顔を出す事も少なく今回は参加している者もいるし
初めて知り合う者同士もいる。
だが、そんな状況を差し置いて、僕たちはあの時
一つになった
誰もが空を見上げ、打開策を出す訳でもなく
ただ、目の前の現実と、目の前の目的地の狭間で、
全てを受け止めるより他に取るべき道はなかった。
各々が声をあわせ
「実にオレ達らしいじゃないか」
と呟いた。
手に入れた2台のレンタカーへ乗り込み、僕らは夕食の予約をした
ステーキハウスへ向かった
目の前にあったはずの澄んだビーチは、瞬く間に景色へと、風景へと変わっていった・・・
目的地は国際通り
沖縄最大の都市
那覇にある、歓楽街
ステーキハウスへと入り
予約席へと通され
食事を待ちながら、僕は他の7人の存在すら忘れ
店員へと問いかける
「お姉さん、沖縄は長いんですか?」
「僕達8人で沖縄来たんですけどね」
「沖縄まで来たはいいものの」
「いつも一緒にいるもんで、今更話すことないんですよ」
「僕とトークしませんか」
店員「・・・」
その後の会話も、食事も、もはや覚えてはない
僕は元来、無意味な撮影は好かない太刀だ
そんな僕が血迷った鳥などを取っている
その意味を考えろ…
到着当日は、辿り着いた地が沖縄である必要は何処にもないような
ありふれた生活を、ありふれたメンバーで
意識する事もなく、夜を迎える
今思えば、その日の夜
かずやと語り合った2,3時間が
もっとも楽しかったかもしれない
あの時の僕たちは、前を見ていたから
次の日早朝から離島へ行く予定だという事すら顧みず
全てを楽しんでいた・・・
純粋に・・・
僕達が、そんな実に人間的で、友情の上にしか成り立たない、
有意義な時を過ごしている間にも
都さんは一人
「俺はちっと風にあたりたいからドライブしてくるよ」
だなんて、自分に酔うことしか考えていない
ッ…
風を知る年齢かッ…!!!!!
各々が胸に、想いを掲げ
二日目の朝を迎える
ホテルから出される朝食など、見向きもせず
僕たちは那覇から向かう
伊江島
それは、南の島
高速を利用し、ナビを駆使し、下町を通り
本部港から出るフェリーを求め
車中に於いても言葉少なに、この旅行を決定付ける何かを求め、走り続けた。
フェリーへ着くと僕らは、船内の売店にあるカップそばやおにぎりを朝食にし
風景には、余すことなき感嘆の声をもらし
同じく離島へ向かう人々との会話を愉しむ
Worldx「おらさ岩手から来たぬらべっちゃ」
Worldx「つおっと集合写真なんてしゃれたもんどりだぐで」
Worldx「ちいとこのボタンぽちっとおしでぐでまでんが?」
Worldx「とりやえずおしてもらえでば、そりゃあもういいのとれまずんで」
そうして完成する集合写真
彼なんてもう、僕らが何を言うでもなく訴えかけている
言葉を発するでもなく、伝えようとしている
東京から来た僕らに、沖縄の英知を、歴史を、素晴らしさを
物言わぬ圧倒的風景を持つ被災地が、時にどんなアナウンサーよりも雄弁に現状を訴えかけるように
彼の眼は、幼女をひたすら写真に収めている僕に、
景色を撮るでもなく外人、幼女、しんや以外をフレームにおさめない僕に言う
カメラを構えた僕にこう言う
「今なら見えるはずだ…、光の道を見ろ」
「フェリーに乗り進み、伊江島へ行け」
「俺はそれを祈ってるぞ…」
「そして感謝する…」
「ようこそ…男の世界へ…」
僕はこう答える。
「オレは『正しい』と思ったから撮ったんだ。」
「後悔はない・・・こんな世界とはいえ、」
「オレは自分の『信じられる道』を歩いていたい!」
僕たちは海を渡り、海へ辿り着いた
僕は、無我夢中で、更衣室が例えあろうとも
太陽の下、生まれたままの姿を経て、水着へ着替えた
その足で、海へ・・・
底へ・・・
何処までも透き通るこの海の・・・その先へ・・・先へ・・・
何が見える・・・?
プランクトン・・・?
朽ちた珊瑚たち・・・?
否・・・
それはフグ
それは小魚
それはヤドカリ
続いて、ぺすが飛び込んでくる
その姿を、海上から、照りつける太陽の下で眺めながら
僕はフェリーでのやり取りを思い返す
・・・・・・・・・・・
Worldx「ぺすさん」
Worldx「既に二日もあなたが守るべき逗子消防署をお留守になっている」
Worldx「そんな価値がこの旅行に?」
Pes「フン!いい質問だな」
Pes「いいだろう、いい機会だ」
Pes「この旅行が終わった時…その時…この地球上に『どんな事が起こるのか?』説明してあげよう」
Pes「たとえ話で…」
Pes「君はこのテーブルに座った時…ナプキンが目の前にあるが…」
Pes「君はどちら側のナプキンを手に取る?向かって「左」か?「右」か?」
Worldx「普通は…左…でしょうか…」
Pes「フム…それも…正解だ…」
Pes「だが、この「旅行」においては違う」
Pes「『宇宙』においてもと言い換えてもいいだろう」
Pes「正解は、『最初に取った者』に従う…だ」
Pes「誰かが最初に右のナプキンを取ったら全員が「右」を取らざるを得ない」
Pes「もし左なら全員が左側のナプキンだ、そうせざるを得ない」
Pes「これが「社会」だ…土地の値段は一体…誰が最初に決めている?」
Pes「お金の価値を最初に決めている者がいるはずだ、それは誰だ?」
Pes「民主主義だからみんなで決めてるか?それとも自由競争か?」
Pes「違うッ!!!」
Pes「ナプキンを取れる者が決めている!」
Pes「この世のルールとは「右か左か?」このテーブルのように均衡している状態で一度動いたら全員が従わざるを得ない!」
Pes「いつの時代だろうと…この世はこのナプキンのように動いているのだ」
Pes「そして『ナプキンを取れる者』とは万人から『尊敬』されていなくてはならない」
Pes「誰でも良いってわけではない…無礼者や千葉出身はハジかれる…」
Pes「…それは『敗者』だ」
Pes「仮にこのテーブルに「フリーザ様」がつかれているとしたら」
Pes「たとえどんな人間だろうと…ローマ法王でさえ「フリーザ様」のあとにナプキンを取らざるを得ないだろう?」
Worldx「フリーザ様…」
Worldx「…どういう意味ですか?…この旅行に何の関係が…?」
Pes「『たとえ話』だよ『た・と・え』だ!」
Pes「この旅行が終わる時、私の繁栄が始まるという事だ」
Pes「この海でそれが手に入る…」
Pes「世界中の万人が…『敬意を払う』なにものかがな…」
Pes「それが『真の力』だ」
Pes「その力の下には「味方」しかいない」
Pes「最初にナプキンを取る事のできる人間になる」
Pes「その『円卓』にこの『市川直樹』が座る事になるのだッ…!!!」
今、こうして無事に東京に辿り着いた我が身を振り返り…切に思う
あの奇跡から…
よくぞ無事…帰って来た…!
次回「第二話:その男、栄光を掴む」につづく
- Posted by at : 2008.9.24 | Comments [0]
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プロローグ:都博史の爪あと
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- 沖縄旅行
僕たちは、この2008年という
何もなければ、何もなく過ぎるであろう
平成の通過点に、一つの思い出を残すべく
沖縄に旅立つ事にした。
友情に思い出を、しんやに花道を、沖縄に消防士を・・・
各々の目的を掲げ
僕たち8人は、とにかく沖縄へと向かうことになった。
その始まりは、8月29日の事だった。
昭和の生んだ天才、Norisこと
No Originality Replication Identity System
今回の旅路に於いて、最も、参加できるか否か
その動向が危ぶまれ、見守られていた彼が、
遂に参加できるという結果に落ち着いた矢先のことです。
僕とかずや君は、いつものように会話を交わしている最中
彼からの報告をうける。
彼の未来を、精神を、生活を、彼自身を想い、出した課題。
高校生活7年間のリハビリを為すべく、8月末までにノルマ4万円を貯めるという
一見して常人ならまず達成可能な数字、しかし彼がその成否をようやくに報告できるのはこの日の事となる。
とにかく達成の報告が、僕たちの耳へと届く。
「できる!都さんが来れるという事なら、ようやく予約ができる!」
沖縄旅行という一大行事、その最初の一歩を踏み出す為
かずや君が、早速旅行会社に電話を掛けてくれた、その時。
「ぜwんwめwつw」
ば、ばかな
仕事中にも関わらず、彼は11件以上もの旅行会社に問い合わせ
一つの答えを11回、耳にした。
「空席は御座いません。」
僕が、仕事後飲みに行っている間にも、彼は探し続けていた。
しかし、もうツアーは全滅。
中止か?サイパンか?ツアーではなく行くか?
半ば投げやりに、僕が帰宅した後も数時間
かずや、僕、ひろまさ、千葉で相談を続けていた。
とりあえずこの状況では、情報を共有しなければ手に負えないという事で、
僕は慌てて、今更ながら、メーリングリストを作ったが、
その心持ちは、既に諦めへと向かっていたように思う。
一夜明け
僕は朝、いつもより多少憂鬱に
最大限、眠気と戦いながら、恵比寿駅を降りた。
駅の前でパンフレットを配っている3人組がいる。
僕は何ともなく、それを受け取り、
歩きながら、中を見てみると
「近畿日本ツーリスト 秋の旅行 9月~10月」
もし今見ていなかったならばどうとすら思わない文言が刻まれていた。
僕は振り返り、配っていたお姉さんの所へ行って、何か言った。
たしか「これって沖縄リゾートとかってわざわざチラシ書いてありますけど、今月20日とかでもいけるんですかね」
お姉さんは、戸惑いながら答えた
その答えは、今は分からないだったか?私には分からないだったか?
今となっては覚えていない
とにかく僕は、こう答えた
「つまり電話すればいいってことですね」
その時、僕は下を向き、笑っていた。
頭が眠気から冷め切らぬまま、
いつものように、かずやと話し始めた。
無論、話す事は一つ
昼過ぎ頃まで、かずやはひたすら探していた。
ツアーではなく、如何に安く、沖縄まで辿り着くか
僕もまた、どうすればよいのか、頭を悩ませていた。
二人の辿り着いた答えは
極力安く、沖縄まで向かい、泊まる場所など、現地で確保
この一点だった。
また、大阪発のツアーならば空いているのではないか?
そのような淡い可能性に賭け、最後に僕は昼休みに
大阪の各社へと、電話する事にした。
しかし、その前に僕にはやる事があった。
それは今朝の出来事
あのチラシ、あのパンフレット
駅前で配っていた3人組、そう近畿日本ツーリスト
・・・僕は電話した。
店員「はい、近畿日本ツーリスト恵比寿店、名取です。」
僕「あのね、名取さん」
僕「僕たち8人で沖縄行きたいんですよ」
店員「あ、はい、いつのご予約ですか?」
僕「今月の20日なんですけどね、空いてますかね」
店員「申し訳ないのですが20日羽田からのご予約は一杯となっておりまして・・・」
店員「週末なので、大変人気で・・・難しいですね・・・」
店員「大体平日働いていらっしゃる方々が皆利用されますので・・・」
僕「15日からの3連休とかもじゃあ駄目なんですか?」
店員「そうですねえ・・・」
僕「名取さん」
僕「お伺いしたいんですがね、難しいってなんですか?どのくらいですか?」
僕「その難しさ、僕たちが乗り越えられないってどうして決め付けるんですか?」
僕「僕たちのこの数年間は、無理な事ばかりしてきた人生だった」
僕「もう無駄だとか、難しいだとかいった言葉は聞き飽きたし、俺たちには関係ねェ」
僕「それと今朝、チラシ配ってましたね」
僕「駅前で、チラシ配ってましたね」
僕「僕はそれ受け取ったんですけどね、沖縄って書いてあるので20日から行こうと」
僕「スキップしながら会社へ向かったわけですよ、3人掛かりでチラシ配っているわけですから」
僕「しかも朝の恵比寿、これから会社に向かうであろう僕たちに向かって配っているチラシ」
僕「それを鵜呑みにして、じゃああの連休沖縄行こう、沖縄リゾート専用のチラシまでついてるわけですから」
僕「絶望ですね、この現実、しかも難しいって、無理なら無理って言ったらいいんじゃないですか?」
店員「は、はい・・・そうですね・・・」
店員「もう一度調べてお掛け直しする形でも宜しいでしょうか?」
僕「名取さん」
僕「僕はここで水をまくことしかできない」
僕「だが君にならできる、君にしかできないことがあるはずだ。」
僕「誰も君に強要はしない、自分で考え、自分で決めろ、自分が今何をすべきなのか」
僕「悔いのないようにな」
数分後、一本の電話が掛かってくる。
どういうマジックを使ったのか、どういう暴挙に出たのか名取
20日から23日までの3泊三日で8人がいけるツアーを手に入れてきたらしい
まさか
しかしそのツアーを僕たちが手に入れる為には、
店まで出向き、その場で手付金を支払い、キャンセルも変更も不可能な予約をしなければならない。
しかし僕の昼休みはとうに悲鳴をあげていた。
急いで食事をし、事務所に戻り、
かずや君に相談した
彼の意見は、実にすばやく、見事だった。
僕の迷いを断ち切ってくれた。
「即、予約成すべし」
しかし、店までどう出向けば?
営業時間が10~19時だというのに?
僕の仕事終わりが19時だというのに?
いつ?いつ行けばいいのだ?
しかも、刻一刻と、他の人間が飛行機の予約を取ってしまっているかもしれない。
今回僕たちがツアーに苦労しているのは、全て飛行機のせいである。
飛行機の搭乗人数が、圧倒的に、東京都民に対して足りない・・・!
名取さん曰く、どのようなツアーであれば飛行機が行きか帰りどちらかが取られてしまえば
このツアーですらまた予約済みになってしまう・・・!
時は17時00分
しんやさん、技を借りるぞーーーーー!!!!!
「あ、あ・・・あ、あ・・・」
「アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
叫んで僕は事務所を出た。
気付けば店の前
僕は「名取さんに会いたい」
そう一言だけ伝えた
そうすると、名取さんが出てきて、こう言う
「店長、お願いします」と
店長らしき人物があらわれ、しばらくパソコンに向かった後、こう謝罪する。
「すみません、黒田様」
「この間に、帰りの便の予約が埋まってしまいました」
なんと、空いているのはもう
22日の昼に帰る便しかないようだ。
泳いで帰るといっても、店長の顔はこわばったままだった。
僕はかずや君に確認を取り、涙をぬぐいながらそれを承諾した。
本編へ続く
- Posted by at : 2008.9.24 | Comments [2]
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イチロー
イチロー8年連続200安打達成
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=611009&media_id=2
神
メディアにもてはやされ・・・
担がれ・・・
御輿にあがったスポーツマン達・・・
アーティスト・・・
作家・・・
そんな情報の数々に・・・
その気にさせられる国民達・・・
永年の繰り返しを見届けてきた25年間・・・
その結果・・・
日本人の金メダリスト
世界チャンプ
海外拠点のアーティストたち
日本人という人種が・・・
世界で一旗あげるのに存在する壁・・・
その高さ・・・
日本人という劣等感を有するに至る・・・
しかしこいつは違う・・・!
本物・・・!
誰もが世界へ渡る時、結局井の中の蛙だろうと見送っていた俺の心を・・・
裏切った・・・!
イチローだけは・・・日本人に夢を与えてくれている・・・
別に野球がそこまで好きというわけでもないが・・・
あらゆるジャンルを飛び越え・・・
この段階まで世界で日本人をしているのは・・・イチローだけ・・・!
俺の知る限り・・・
現代・・・
世界に通用している・・・こんなストイックな男はみたことない・・・
おまけにかっこい・・・
こいつは全部分かってる・・・
しゃれた言葉も・・・それを言う資格が自分にある事も・・・
下手な謙遜などいらないと分かっている・・・
こいつだけは・・・
でかいこといくら言おうが・・・
有資格者・・・!
尊敬に値する・・・
他には・・・
都博史・・・
高橋大輔くらいしか・・・俺は知らない・・・
間違いなく・・・世界遺産・・・イチロースズキ・・・
エアーズロックなんて目じゃないぜ・・・
そんな俺はまだ・・・
マジェかフォルツァかだなんて事で悩んでいる・・・
愚図・・・!
- Posted by at : 2008.9.18 | Comments [0]
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Monster
たばこ千円で増収 厚労省試算
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=610375&media_id=2
喫煙者としては・・・
無論、煙草1箱1000円の時代など・・・
到底歓迎できぬ・・・
とは言え・・・
煙草を吸わない者からすれば・・・
どうでもよい話・・・
その政策によって喫煙者が減れば・・・
嫌煙者も喜ぶだろう・・・
そんな手前・・・声を大にして
コメントする事は控えていたが・・・
しかし・・・煙草ってのは・・・
ニコチン・・・タール・・・
肉体依存・・・
マリファナなんてチャチなもんじゃ断じてねェ・・・
人間には触れちゃいけない依存がある・・・
そいつに触れちまったら・・・あとは・・・
命のやり取りしか残っちゃいねェんだァー・・・!
日常を無事過ごしつつ禁煙するには・・・処方が必要だと・・・
分かっている上で・・・
この政策・・・
鬼畜・・・!
喫煙者は・・・社会的弱者・・・!
政策を打ち出した当人も喫煙者という決定的事実を盾に・・・
その圧倒的財力を盾に・・・
権力に守られた・・・知略駆け巡る策・・・!
無知な国民へのあてつけか・・・!
ようは・・・
金を掴めってことだ・・・
僕たちはそろそろ学ばなきゃならない・・・
勝たなければゴミ・・・
勝たなければ・・・
勝たなければ・・・
勝たなければ・・・
1箱1000円だろうと構いやしないと・・・
精神に・・・支出に・・・社会に・・・
勝たなければ・・・
ゴミ・・・!
おまえの狙いは…!?
ボクらを禁煙させるのが何だというんだ!?
このオレを「嫌煙者の英雄」にさせてほしいからだ
公正なる「政策」は 自分自身を人間的に成長させてくれる
卑劣さはどこにもなく…漆黒なる意思による政策は
人として未熟なこのオレを 聖なる領域へと高めてくれる
乗り越えなくてはならないものがある
『禁煙』は『修行』だ
だから君たちに全てを隠さずに話している……
「金額」にも「目的」にも オレにはウソはない
よろしくお願い申し上げます
どうする?
決めるのは君たちだ…
(真実で言っているのか?フザけてるのか?
こいつ…どうかしてる)
これが「男の世界」…………
反社会的と言いたいか?
今の時代………価値観が「甘ったれた方向」へ 変わってきてはいるようだがな…
やめろよ
妙なことはやめろ……
あんたに「政策」「次」は もうない
その「政策」を床に置くんだ
既にオレは納得した…
もう禁煙する意味はない!
だから対応者だと言うのだ!
「光の道」を見ろ………
進むべき「輝ける道」を………
「社会的な価値観」がある
そして「男の価値」がある
昔は一致していたが その「2つ」は現在では必ずしも一致はしてない
「男」と「社会」は かなりズレた価値観になっている………
だが「真の勝利への道」には「男の価値」が必要だ…
おまえにも それがもう見える筈だ…
レースを進んでそれを確認しろ……
「光り輝く道」を…
オレはそれを祈っているぞ
そして感謝する
ようこそ………「男の世界」へ……………
まさに・・・
モンスター・・・厚生省・・・
そう・・・
何が言いたいかっていうと・・・!
ツムジさん・・・
あんたは正しかった・・・!
ドゥカティは・・・
Monsterは・・・
美しい・・・
一目見て・・・
愚図と断じた自分を恥じたい・・・
今頃になって・・・
魅せられはじめている・・・
大型バイク・・・!
アメリカンに憧れていた・・・高校時代・・・
今・・・ようやく手に出来るとなった時になり・・・
利便性・・・オートマ・・・収納・・・だなどと・・・
ごたくを並び立て・・・
決定的要因と思われていた諸々の事項・・・
そう考えていた・・・
でも・・・気付いちまった・・・
両方もってればいいだけっていう・・・オチじゃないですか・・・
これは盲点ですよ・・・
ビッグスクーターは買う・・・
ドゥカティも買う・・・
両方やらなくっちゃあならないってのが
NEETのつらい所だな・・・
- Posted by at : 2008.9.17 | Comments [0]
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欠損
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自覚するに至る
自身に足りないモノ
優しさとか、大らかな精神とか、実行力とか
数え切れない、隙間
最も恐ろしく、細々しくはありながら、自身を苛む
その欠損が一つ
「努力が成功するイメージ」
僕はマイナス思考だと、考える最中
時々不思議に思う事がある
ある種の部分で、楽天的な所が、確実にあるから。
とは言え、自身がマイナスに向かう思考を持っている事は疑う余地もない
その楽天さは何によって存在しているのか
それはおそらく諦めからである
だからといって恐ろしく諦めが早いという訳でもない
しかし何処かの時点で、僕は
「これはもういいだろう」と思う地点にぶちあたり
努力の継続か、努力の開始か
そのどちらに於いても、見返りと天秤を賭ける。
しかしそこには当然、努力と見返りとは別の所で
実現の可能性という壁があり
その点に出会うが途端、弱腰だ
何もかも、考えすぎ、
浮かぶイメージを並べ立て
そのどれもが許容できるリスクであると判断するなどと
およそ衝動的とは程遠い何か
冷めた心
そうして為さざるを得ない努力すら、見返りを逃し
精神的な損失を被り
諦める螺旋にいる。
根本的な所で、あまり愚痴などといった事も言えない
多少でも、そうでない可能性があるのなら断定すべきではないと
心の何処かが囁いている。
その根拠もない、可能性のイメージによって。
葛藤が自身を向いているうちは良い
そこに外部からの圧力や、繋がりや、精神が介入してくるとなるとまた
手に負えたものではない
人は平等ではないけれど、幸せを追い求める権利は、平等だ
つまり、精神は平等なのだと、頑なに信じようとも
社会や、外部からのイメージが、それを捻じ曲げ、歪曲させ、自身を制限する。
言葉に出さない気遣い、実行にうつした配慮などの努力
報われない理由がこれ程揃っていても尚
未だ必然の現実に打ちのめされる。
この段階での不安がない人
理解を期待できる人
そうそういたものではない
- Posted by at : 2008.9.14 | Comments [0]
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6年越しのさよなら
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自分の事を知ってもらいたいと思う欲望
個人差はあれ、誰しも持ち合わせている願い
人に自身を勘違いして欲しくないから?
少しでもよくみせようと?
理解を深めたい?
自身に興味を持って欲しい?
伝えたいから?
僕の場合は、気付いて欲しいからなんだと思う。
でも僕は、一部の事に関しては、誰にも話さない。
自分でも驚く程、話さないのだ。
期待できる効果があると分かっていても尚。
それは2002年
彼は大学に通っていた。
その2002年の彼へと導いた、過去の彼は、
遊びや、恋や、バイト
当時の1年前、つまり高校3年となっても、未だ
夢はいつまでも夢であり、到達までの具体的な道筋を考えた事もなければ
実行しようと思ったこともない男であり
「周りが受験するから」以上の思いで大学を目指したわけでもなかった。
ただ何となくと
周りの生活にあわせていただけだった。
あれこれになりたい、あんな資格が欲しい、ああいうモノが欲しい。
取り巻く欲望は、夢とも言えない、ただの希望の数々。
こうすればなれる、これを勉強すれば資格は取れる、いくらで買える。
そのような希望への道筋が分かり、後は実行するのみとなる頃には
彼の心は既に、それらの夢とも希望とも言えぬものたちに、別れを告げており、
奇妙な満足すら覚えているのだった。
2002年
つまり、当時の彼はその頃から、何も変わっていなかった。
気付けば普通の道を歩んでいるものだろうと勘違いしていたままだった。
街を歩けば、目前の楽しみに思考を奪われている。
その日の夕食、遊ぶ約束、週末の買い物。
どれも日々の雑踏に埋もれてしまいそうな事柄
ただ一つ人と違うのは、彼はそのどれに於いても、考え尽くしている事だった。
そんな大学入学と同時に、新たなバイト先を見つける事になる。
チェーン展開している飲食店、決めた理由は実に彼らしく
大した理由でなかった。
それはもうシンプルに、高校時代の友人の何人かが、同チェーンの別店舗で働いており、
「メンバー同士が和気藹々とした雰囲気」という印象。
彼は訳も分からぬうちに、「きっと、どの店舗でもそうさせる空気があるのだろう」と
気付いた時には、何故かそう確信していた。
そうして自宅近くの、その飲食店で彼は働き始めた。
入った当初、彼はいつものように新たな環境に身を投じる場面に於いて
バイトで働くという趣旨、お金を稼ぐという趣旨、
つまり真っ当な目的以外の所に頭を働かせつつ
この新たな環境で生まれるであろう人間関係を、少しでも自分らしく過ごせるよう
持ち前のひょうきんな性格を、さらけ出しつつ
周りに接していった。
ちょっとした合間に、お店の先輩に対して出す会話(彼は積極的に話しかけていった)
または質問への受け答え
その全てが彼らしい受け答えだったが、
しかし当の彼らしさという点がまた問題で
ちょっとした質問に対しても、「如何に誠実に自身の心と向き合い答えを出すか」
と考え尽くしながら
趣味と聞かれれば「感動すること」と、答え
好きなモノはと聞かれれば「外人」と、答え
その一見的を外れた答えは、
冷静に、誠実に、彼はそう答えていたのだが、
彼を変わり者と判断させるのに充分なものだった。
何故、彼はそんな小さな質問にも貪欲に誠実な答えを求めたのだろうか?
彼は自分の知性を疑ってはいなかったが、
その知性ゆえ、一つの物事に多くの可能性を見てしまっていた。
想像してしまっていた。
そうなると人は、一体何が本当にあるべきモノなのか?
現実的なモノなのか?
分からなくなってしまうのだ。
彼は、実に多くの可能性を見てしまっていた。
自身の出す言葉、一つ一つに、誰よりも疑いの目を向けているのも彼自身であったのだ。
「本当に自分はこう思っているのだろうか?」
「自分がこうなのだと言葉に出して、果たしてそれは正しいのだろうか?」
いつの時も彼は、そんな疑問を自身に対して投げかけているのだった。
何かを好きだという時にも、彼が振り返らず声を大にして言える事には、何か事実的な理由が必要だった。
勢いや、日常必要に迫られる嘘をのぞいて、彼はその断定に関して大いに悩んだ。
当時、彼は誰よりも自分への誠実な理解を、何かに求めていたのだった。
そんな彼は、決して大人びた性格ではないが、何処か達観した所があり
興味のない事に対しては、驚くほど反応もなく、
逆に自身が興味を抱いているモノに関しては、驚くほどの情熱の捧げるような彼の性格は、
同年代が夢中になる物事について、程度の差はあれ
どれも興味を示さず、
リアリストでありながら、その中に生じるロマンに生きたいと常々考えていた。
そんな中、この新たな環境で、一人の男と出会う事となる。
その人、ケイさんは、実によく自分の事を話す人で、「こうありたい」という自分の像を確かに持っていて
その為の努力も欠かさず、一見ストイックなように思える結果を残していつつも
何処か無邪気で、裏表のない、素直な性格が伝わってくる人だった。
彼はすぐに、直感的なものから、ケイさんに好感を持った。
年は離れているが、彼の性格、考え共に、
元々彼の身近な人間である同級生たちとは、深く人間的な所で語り合う事は諦めていたから
彼にとって、過去に年上の人達と話してきた、
彼が充実したと思える会話を交わす事の出来る、
新たな環境での初めての人だった。
驚くほど、すぐに仲良くなり
色々な事を話し、色々な話をし、彼らしくはないが、
実に新鮮な影響をうけた。
というのも、彼に生涯付き纏うであろうと思われた根源的な問題
考える事で尽きるという性質とは、全く逆のモノをケイさんは持っていたからだった。
彼はその点に最も大きく惹かれ、
自分でも気付かぬ所で、変革の訪れを予感していた。
自身に根をおろしている、辟易すべき宿敵と、向かいあうだけの価値観を蓄えていった。
- Posted by at : 2008.9.4 | Comments [4]
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ばいくかうぞー!
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正気の沙汰とは思えねぇ・・・
普通二輪・・・
免許を取ることに決めた・・・
既に普通自動車免許は持っておる・・・
無論、バイクは取れた瞬間には買う・・・
とどのつまり、一ヵ月後には舘ひろし・・・
ククク・・・
しかし人生・・・
一ヵ月後ではまだ取れていない可能性もある・・・
バイクも買えていない可能性も・・・
だから諦めようなんて・・・
未熟な気持ちだから見失う・・・
大事なこと・・・!
だから麻呂は土曜日にはバイクを見に行くことにした・・・
何を買うかは・・・
皆目検討もつかん・・・
バイクがあれば・・・車種や・・・年式など・・・
拘らん・・・
店員に値切ろうと交渉しても・・・やつらは質問には答えない・・・
大人は質問には答えない・・・
それが基本だ・・・
だが・・・
やつらのように
頭で非情ぶってる奴ほど
実は甘ちゃん・・・
いいカモだ・・・
分かるか・・・?
つまり、リスク分散は・・・怠らない・・・!
誰か川崎付近のバイク安い店・・・
チヶケラ・・・YO・・・
- Posted by at : 2008.9.4 | Comments [4]
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