地球は不思議なもので、
かろうじてオレのような宇宙人の呼吸を、許している
オレは、誰にも、許しを乞ってはいないのにも関わらずだ
スティールボールラン
この物語はジョニィが大人へと歩き出す物語のはずだった
レース、順位を競い、尊厳をえるための戦い、のはずだった
無実の少年を救うための旅であるはずだった
それがなんだ
もはや何が起きているのかわからない
絵も、言ってることも、ついていけない
積み重なった、ありあまる愛をもってしても、辿りつけない・・・
ただのデブでしかなかった大統領の佇まいと言ったら
美、そのもの!
言動には果てしなく大きなモノへの責任がただよう
そしてジョニィ
主人公、彼、足が不自由です、まったく動きません、つまり歩けません
見てくれよおオォオォォと叫ぶ彼の足!腕!曲がった腰!
痛々しくてみてられない
でも彼はなんと漆黒の意志をもっているのです
なんですかそれ?
これがマンガなのか・・・
かつてのこの物語は、
ただ火を使えるエジプト人や
ただ素早く動く力強いだけの主人公や
ハリガネのような剣をあやつれる達人
しかもその達人の必殺技はなんと
「防具をはずすとはやく動ける!」とかいう
誰でも使える超特売の必殺技のオンパレードだった
スタンドと呼ばれる能力の名前も
スタープラチナやザ・ワールドといったタロットカードを由来としたモノから
いまとなっては
いともたやすく行われるえげつない行為
え、これが名前ですか・・・
そしてかつては最大の敵も数秒間だけ時を止められるといった
そんなスマートでシンプルな能力だったのに
それがいまはなんだ
「いともたやすく行われるえげつない行為」の能力ときたら
無限にあるパラレルワールドを行き来できて、
そこからモノや人を移動できる、つまり自分が死にそうになっても
隣の世界から自分を持ってきて死ななかったことにできる。
しかも隣の世界から持ってこられたモノと出会うと
お互い引かれ合い、スポンジが重なるようにして、消滅する
はい・・・?
しかもそれがまた成長するんですがね
本来、普通であればステップアップっていうんですかね
代償または何らかの努力によって得るであろう進化を
何の苦労もなく
彼の場合
そこらへんから引っ張り出した女の子を女神だとか言いはじめて
「陽」のあたる所には必ず「影」があり・・・幸福のある所、必ず反対側に不幸な者がいる・・・「幸せ」と「不幸」は神の視点でみればプラスマイナス「ゼロ」!「安定した平和」とは!平等なる者同士の固い「握手」よりも絶対的優位に立つ者が治める事で成り立つのがこの「人の世の現実」!!!
とかいきなり言い始めて、
隣の世界のみならず
スキ間も移動できるようになる
まあ大体スキ間ってなんですかってかんじなんですけど
とりあえず、そのスキ間に対しては
「害悪」なるものは遥か向こうのどこかの誰かへ吹き飛ぶ
そうするとその「スキ間にはこの世のよい事だけが残る」能力
それに対する主人公の能力ときたら
「爪を飛ばす」
・・・なめてるんですか?
サッカーと野球戦わせてるんですか?
ちなみに前作では、最終的に最期の敵は進化の結果
宇宙を一巡させてこの世を終わらせました
でもそのあと変な主人公でもないガキのパンチで倒されます。
改めて考えると口をあけずにはいられない
秩序とは程遠い作品であるにも関わらず
それで終わらせない力が、いや、そうはさせない力に満ちている
いくつかの創作物の中に、オレはそういうかがやきをみる
そして惹きつけられてやまない
ジャンルは、まったく変わるが
ラースフォントリアーや、先日観たミヒャエルハネケ
彼らの世界は完全に神によってコントロールされている
揺るぎない統治
でてくる全ての人物や世界に至るまで、あるべき場所が決まっていてやるべきことも、なすべきことも決まっている
神のいる世界
それに対して
スティールボールランの中では
登場するあらゆるものたちが、生きている
生まれたモノが歩き出している
それはもう神である作者であっても制御できない
そういう感覚がたまらなく心をうつ
今日、友達のライブに顔を出してきた
そこに佇む彼女たちは生きていた
キレイな、彼女にみえている景色を、後ろから少しのぞけたような気分だった
彼女のつくっているものは生きているのだろうとおもう
もしくはそこにあるものなのか
それをみせようとしているのだろうか
彼女が美しいと思うモノが、よいと思うモノが、いかによく、いかに美しいのか
示してくれているのだろうか
これから磨かれていく中で、
かがやくのは彼女のつくる世界か
それとも、彼女の世界は既に美しく
オレたちとその世界を隔てるガラスが、磨かれていくのか
もしもそうなら磨いていかなければならないのは彼女だけに限らない
自らの手でも磨かなければいつまでも曇っている
やらなきゃならないのは、磨かなければならないのは、オレたちも同じなのだ
オレはそれをやる